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大震災3年/宮城・気仙沼鹿折加工協同組合、遅れるかさ上げ工事

 2月22日、宮城県気仙沼市鹿折地区には冷たい風が吹き、時折、雪がちらついていた。高長商店の吉田新一さんは、1箱3キログラムのメカブをてきぱきと梱包し、積み上げていく。この日は朝6時から作業を始めてワカメやメカブ、メカジキを首都圏に出荷した。

 【用地買収が難航】

 吉田さんが勤めている高長商店は、マグロ類の冷凍加工が主力だった。しかし、東日本大震災の津波で工場が全壊。2012年9月から気仙沼鹿折加工協同組合の共同処理施設で仕事を続けている。

 鹿折地区ではかさ上げ工事で大型ダンプが何台も行き交い、重機がうなる。吉田さんは「とにかくかさ上げが終わらないと建物を建てられない。でも土地を売らない人もいるしね」と、黙々と手を動かす。

 実際、進捗(しんちょく)は芳しくない。被災地では集団移転や土地区画整理などのさまざまな復興事業があるものの、肝心の用地買収が難航、総じて計画通りに進んでいない。平時でも一筋縄ではいかない手続きだが、相続人の死亡・行方不明などでさらに複雑化している。用地買収を担当する自治体職員の不足、縦割り行政なども追い打ちをかける。

 鹿折地区の水産加工団地も同じ。当初、約9万5000平方メートルの用地を13年6月までに約20億円で買収し、昨年秋までにかさ上げを終える予定だった。だが、用地買収が遅れ、かさ上げ終了は14年8月に延びた。新工場の着工は早くても7、8月の見込みだ。

 【新ブランド創設】

 協同組合は水産加工業者18社で12年8月に設立した。この間、三井物産と住友商事の支援を受け、新たな水産加工業を模索。「気仙沼鹿折ブランド」を立ち上げた。今後、キリングループの支援金5000万円を活用して新商品を開発する。年齢や性別などのターゲットを絞り込んだ商品、高級贈答品、サメ・カツオを使った健康食品などがテーマ。味だけではなく、デザインにもこだわる。川村賢壽理事長(かわむら社長)は「自信のある商品を時代のトレンドに合わせていきたい」と意気込む。

 新商品のレシピ開発では一流ホテルのシェフの力も借りる。臼井弘副理事長(福寿水産社長)は「最高の素材に手間をかけて、消費者を満足させる商品を開発したい」とし、水産加工業が陥りがちな素材至上主義からの脱却を図る。

 【目線をひとつに】

 ただ、地元の水産加工会社の業績は伸び悩んでいる。経済産業省のグループ補助金などで復旧したものの、販路を失って倒産や開店休業に追い込まれたケースも少なくない。組合の中にも「消費増税前の駆け込み需要があると思ったが、全くない。受注も落ち込んできた」と先行きを不安視する声もある。

 「『目線をひとつ』にして3年間のブランクを埋めたい。何としても全員で生き残りたい」。川村理事長は決意を新たにしている。


【2014年3月5日 日刊工業新聞社】