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JR東日本、進撃−「東北観光列車」車両・サービスに趣向

 JR東日本が観光列車に力を入れている。2013年10月から八戸線でレストラン列車「Tohoku Emotion(東北エモーション)」の運行を開始。4月以降には復元した蒸気機関車(SL)「C58 239」によるSL列車「SL銀河」の運行を始める計画だ。JR九州の豪華クルーズ列車「ななつ星in九州」をはじめ「乗ることが目的となる列車」の人気が高まる中、観光列車の運行を増やすことで新たな乗客の掘り起こしにつなげる。(高屋優理)

 【ランチのコース】

 東北エモーションは土日祝日を中心に八戸線の八戸―久慈間を1往復運行する。往路は八戸駅を11時ごろに出発し、ランチのコースを提供。復路は久慈駅を14時ごろに出るデザートビュッフェの列車となる。料金は片道のランチのみで7200円、デザートのみで4100円、往復利用の場合は1万800円。個室車両の利用時には1室ごとに3000円の追加料金が必要となる。

 車両は釜石線と小海線で運行していたキハ110系ディーゼルカーの3両を改造。改造費に約3億9000万円を投じ、外観は「走るレストラン」をイメージしたデザインとした。また、各車両には東北各地の伝統工芸をモチーフにしたインテリアを施した。

 レストラン列車の目玉となる料理は担当シェフが1年に2回変わり、メニューは3カ月ごとに更新する。メニューは冨田哲郎社長をはじめ、役員が試食会に参加して決めた。なるべく東北の食材を取り入れるほか、食器に秋田県の伝統工芸品「曲げわっぱ」を使うなど、東北の魅力を前面に打ち出している。

 【車窓の景観整備】

 八戸線の車窓には雄大な三陸の海が広がり、食事と景観を同時に楽しめるのが最大のセールスポイントだ。JR東では東北エモーションの運行を前に沿線の樹木2100本に手を入れ、車窓の景観を整備した。

 また、列車が揺れると食事の提供などに支障が出るため線路も改良した。全線で線路の下の小さな砂利を大きな石に入れ替え、両脇から押し固める「つきがため」という作業を行い、乗り心地を向上させた。

 保線作業は運行終了後の夜間に行われるが、つきがためは1晩で10メートル程度しかできないため、運行開始の半年前から作業に着手した。1日数本しか運行しない八戸線に対し、異例の規模の整備をして運行に備えた。

 【ノウハウ生かす】

 13年はJR九州がななつ星in九州の運行を開始。募集に対し、競争率が20倍近くとなるなど予約が殺到し注目を集めた。JR九州は各地で観光列車を運行しており、ななつ星in九州がその集大成と言える。15年からは大村線などで和洋菓子を提供する観光列車「スイーツ列車(仮称)」を運行する計画だ。

 JR東も16年春以降の運行開始を目指し、豪華寝台列車の製造に着手する計画を公表。東北エモーションやSL銀河といった観光列車で得た車両製作やサービス、地上設備などのノウハウを生かす。


【2014年1月30日 日刊工業新聞社】