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室蘭工大など、ホタテ貝殻から紫外線遮断に効果がある乳化液を開発

 室蘭工業大学大学院工学研究科の山中真也准教授、大阪工業大学工学部の藤井秀司准教授らは、ナノサイズ(ナノは10億分の1)に粉体化したホタテ貝の殻を使い、紫外線(UV)遮断に効果がある無害な乳化液を開発した。粉体を水と油で混合して乳化液とした。UV遮断率は現在60%程度。化粧材料のほか、広い表面積を生かした有害物質の吸着剤などでの利用を見込む。

 従来、ホタテ貝の殻を再利用した化粧材料は、主に焼成処理によって作られている。ホタテ貝の主成分は炭酸カルシウムで、熱分解後に水和すると水酸化カルシウムが生成され、皮膚の刺激など有害性が指摘されていた。

 ホタテ貝の殻を処理してナノサイズの非晶質(アモルファス)の粉体を作製。その後、水を添加したうえで乾燥させたところ、粉体は結晶として成長、表面積が約10倍になった。元のホタテ貝殻の原料と比べると表面積は30倍以上に増えた。次に水と油を同量混ぜた乳化液に粉体を添加した。粉体は乳化液の油水界面に吸着して安定化した。

 UVはホタテ貝殻の反射効果によって遮断されるため、乳化液中にどれだけ粉体が入るかが重要になる。当初はUVの遮断率は20%程度だったが、粉体の表面を改質して疎水化することで油水界面だけでなく、油相中にも粉体を導入し、遮断率を60%まで高めた。研究グループは、さらに改良を加えることで80%程度まで遮断率を高められるとしている。また、焼成処理をしないため、人体にも無害となる。

 北海道では年間約40万トンのホタテ貝が生産されている。一部は建材の補強剤や土壌改良剤などに再利用されているが、半分程度は破棄される。今回の成果は、ホタテ貝殻の再利用率向上につながると期待される。


【2013年12月16日 日刊工業新聞社】