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農研機構、酵素で果実の皮をむく加工技術を普及へ−食感保ち高付加価値化

 農研機構果樹研究所は酵素処理で果実の皮をむく加工技術の普及に力を入れる。皮をむく方法はナイフなどの刃物を使うか、酸やアルカリ薬液で溶かすやり方が一般的。だが、中身を傷つけるため品質劣化が進みやすいなどの問題点があった。同研究所は米国の技術を基にペクチナーゼなどの酵素液を果実に染み込ませて皮をむきやすくし、生果実の食感を持つむき身の製造を可能にした。カットフルーツの需要が拡大する中、農業法人の6次産業化の動きを後押しできるとみている。

 酵素処理による皮むき技術は、1990年に米サンキストなどが発明した方法を農研機構が日本の果実市場に合わせて改良した。ミカンなどのかんきつ類、カキやビワなどでやり方が異なる。

 かんきつ類は酵素液を内部に浸透させるため外果皮に針で細い穴を開けると同時に果実を密閉容器に入れ、真空ポンプで容器内を減圧し、表皮と食べる部分の間にある白い綿状の部分に酵素液が入りやすくする。

 カキも酵素液を浸透しやすくするため、表皮に食用乳化剤処理と弱アルカリ沸騰水の熱処理を行う。ビワも専用酵素液に漬ける。カキとビワは特許をそれぞれ出願済み。 福島県内のスーパーで農研機構の新技術を使って皮をむいた新潟県産カキのカットフルーツを販売する計画。また、愛媛県みかん研究所が県の戦略作物であるブラッドオレンジの果肉入り和洋菓子を試作した。

 刃物などによる皮むきだと果実細胞を傷つけて中身の果汁が流れ出してしまう。一般的な酸やアルカリで皮を溶かす方法も消費者が食の安全性をめぐって不安を持つ可能性もある。新技術は従来方法と比べコストや量産性で劣るものの、「地域の農産物を高付加価値で商品化したい農業法人に向いている」(農研機構)として普及に力を入れる。


【2013年10月2日 日刊工業新聞社】