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ブランド百景−甲斐絹

 甲斐絹(かいき)は約400年前にオランダ南蛮船によって伝わった先染めの絹織物。特徴は糸の段階で精練し、限りなく撚(よ)りを入れない「先練り、甘撚り」の糸を用いること。完成した織物は独特の光沢と風合いを持つ。江戸時代は羽織の裏地、布団地などに使われ、高級絹として上流階級の人々に愛されたが、化学繊維の普及や用途自体の減少も相まって衰退した。

 2002年、山梨県富士北麓地域の織物業者4社が、観光客に「地場産品としての織物製品を購入してもらいたい」という思いから企業グループを設立。09年に株式会社化したのが現在の「甲斐絹座」だ。同社は、県産絹糸を使った甲斐絹の復活と現代に通用する製品作りに取り組む。

 甲斐絹座の前田市郎社長は「江戸時代の織物がほとんど残っておらず、復刻は非常に大変だった」と振り返る。甲斐絹には、たて糸と横糸に違う色の糸を使い、見る角度によって生地の色が変わる「玉虫甲斐絹」など、さまざまな種類がある。試作を重ねた結果、先染めの特徴が生かせる「玉虫甲斐絹」を軸に商品展開。生地ラインアップを50色そろえ、ネクタイ、傘、クッションなどを商品化した。

 また、独自ブランド「ヘンゲン」を立ち上げ、11年にはパリの展示会に出展。昨年の同展では製品がニューヨーク近代美術館(MoMA)のバイヤーの目に留まり、受注が決まった。9月から、甲斐絹座のストールがMoMA内のデザインストアで販売されている。前田社長は「MoMAに製品が認められ、品質・デザイン性の高さが証明された」と今後の展開に期待を寄せる。


【2013年9月26日 日刊工業新聞社】