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ブランド百景−夢創造の「温泉トラフグ」

 “海なし県”の栃木県で、フグが認知度を高めている。夢創造(栃木県那珂川町)が養殖している「温泉トラフグ」だ。那珂川町で湧き出る塩化物泉を飼育水に利用し、県内の飲食店や旅館など約100軒に直販している。那珂川町は温泉トラフグのブランド確立に向け、廃校になった小学校の活用や補助金の支給といった支援に力を入れている。

 野口勝明社長は1984年に出身地の那珂川町で、環境分析を手がける環境計量証明事業所(現環境生物化学研究所)を起業した。地域の人口が減っていく状況に危機感を抱き、ほかの地域と差別化できる町おこしを考えるようになった。

 そこで目を付けたのが地域資源の温泉、高級魚であるトラフグ。那珂川町内の塩化物泉の塩分濃度は海水の3分の1である1・2%と、生理食塩水に近似。トラフグにとっては体液の浸透圧を調整するエネルギーを抑えられる水質だ。温泉の廃熱を利用し、飼育効率も上げられる。海で養殖したトラフグに比べて約3分の2の1年間で出荷サイズに成長する。10年に温泉トラフグ養殖を手がける夢創造を設立した。

 廃業したスイミングスクールのプールなどでトラフグを養殖し、月500キログラムを出荷している。那珂川町の栃木県立馬頭高校水産科の卒業生を採用し、雇用拡大にも寄与している。地元企業と連携し、ひれ酒セットなども発売した。

 現在、魚醤(しょう)の開発にも取り組んでおり、14年1月の発売を見込む。また「温泉サクラマス」も養殖しており、4月に出荷する予定だ。「クエやハタの養殖も手がけたい」。野口社長の思いはフグのように膨らむ。


【2013年9月19日 日刊工業新聞社】