HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

ブランド百景−絹織物「川俣シルク」

 かつて東洋一のシルクと称賛された「川俣シルク」が再び世界に羽ばたこうとしている。起源は古く、約1400年前にもさかのぼる。明治維新後は日本を代表する輸出品として重要な地位を占めた。

 その後、和装離れや化学繊維の普及、輸入品の増加で苦境に追いやられ、生産量は最盛期の10分の1に落ち込んでいる。だが今や川俣シルクは世界のトップデザイナーたちの熱い視線を一身に受ける存在となった。

 川俣シルクの最大の特徴は薄さ。薄さを実現するのは、川俣軽目羽二重で培ってきた伝統の技にある。齋栄織物(福島県川俣町)が開発した世界一薄い絹織物「フェアリー・フェザー(妖精の羽)」が、忘れかけられていた絹織物の復活のきっかけを作った。

 この絹織物に使う生糸の太さは髪の毛の太さの6分の1。織機の縦糸に何千本もの超極細絹糸をセットし、水で湿らせた横糸で編んでいく。こうして開発したフェアリー・フェザーはイタリアの高級ブランド「ジョルジオ・アルマーニ」のデザイナーの目にとまり、一気に知名度を高めた。

 川俣シルク復活の仕掛け人となった齋栄織物には意外な業界からの依頼も舞い込んでいる。その典型が航空機業界だ。齋藤泰行社長は「川俣シルクは伝統的な技術を大切にしながら、常に新しいものに挑戦したい。川俣産地全体でストーリーを語れるモノづくりができるよう努力する」と意気込む。

 東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所事故。風評被害を乗り越えて、川俣シルクのブランドをより強固なものにしてきた。川俣町も国内外でのブランド力向上に向けて強力にバックアップする考えだ。


【2013年8月15日 日刊工業新聞社】