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インタビュー/JR西日本社長・真鍋精志氏「非鉄道、10年で売上高4割に」

 2017年度までの中期経営計画を本格始動したJR西日本。安全・顧客満足度(CS)・技術の三つの基本戦略に事業創造や新幹線など四つの事業戦略を実行する。少子高齢化や格安航空会社(LCC)の台頭などの環境変化もあって従来の鉄道事業モデルでは成長できない。「地域共生」を掲げるJR西日本のかじをどう取るのか。真鍋精志社長に戦略や課題について聞いた。

 ―17年度に生活関連サービス事業の売上高を現状比250億円増、新規事業で同10億円増を目標としています。

 「中計の5年間は、その後の5年間で850億円増やすための土壌づくりの期間だ。10年間に非鉄道事業の売上高を1100億円増やし、初めて同事業の割合が4割になる。すでに始めたリハビリデイサービスは需要があるが、人材育成やノウハウ蓄積のため5年間で10施設程度の設置にとどめる。野菜や果物の室内水耕栽培は、13年中にレストランや菓子で商品化を目指す」

 ―異分野には競合他社が多くいます。JR西の強みはありますか。

 「大阪などの都心部では駅という強みがある。日本海や瀬戸内海側の地方都市では、面白い事業だが後継者がいなかったり、販路や宣伝力がなかったりする。そこに当社の資金力や持続性の強みが生かせる。小さくても地域共生の事業が何かあるのではないか。それをじっくり見極めたい」

 ―14年度末には北陸新幹線が開業しますが、金沢から関西への観光客減少が懸念されます。

 「マーケットとして金沢や富山が大きくなる。新幹線を乗り継げば近くなることを訴え、北陸や新潟方面への観光客を関西からも増やすことが重要。関西の経済圏だった北陸が東京の経済圏に入らないようにするため、関西の資源を北陸へ上手に訴えることが大事だ。開業前からさまざまな観光PRをしていく」

 ―北陸新幹線でのフリーゲージトレイン(軌間可変電車)の技術開発を掲げ、ノウハウを持つスペイン国鉄と連携協定を結びました。

 「スペインの車両は台車が重いといった違いがあるが、装置の仕組みなどで参考になっている。課題は軽量化、冬の雪対策、電気を途中で交流や直流に切り替えるという3点。福井県の敦賀に延伸開業するのは25年度末予定だ。走行試験もあるため、今後10年以内には開発したい」

 ―13年はLCCに対抗するため、山陽・九州新幹線の運賃を約3割引きする割引料金を設定しました。ただ将来、さらにLCCが増えた場合は。

 「10年ほどのスパンで増えた場合を想定すると割引によるコントロールはあり得るが、大きな価格競争はしない。直前までの乗り換えが可能な点や車内の過ごし方を工夫できる点が当社の強み。無線LANや静かに過ごすサイレントカー、キッズルームなど車中の快適装備が考えられる」

 【記者の目/自前基盤の活用が課題】

 収益に占める運輸業以外の割合を4割にするため、JR西が持つ基盤をどう生かすかが重要だ。都心部では差別化のため顧客を取り込む施策も必要だろう。真鍋社長は新事業のノウハウ獲得に向け、他社との連携に意欲を示した。異分野進出に向け、多様な人材育成もカギとなる。今後、JR西らしさをどう発揮するのか。中計の5年間に注目したい。(大阪・吉岡尚子)


【2013年7月10日 日刊工業新聞社】