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期待から確信へ・JR東の震災復興支援事業(下)バス高速輸送導入

 【交通網を確保】

 東日本大震災では気仙沼線、大船渡線、山田線といった三陸沿岸の鉄道が津波で壊滅的な被害を受けた。JR東日本は気仙沼線、大船渡線の不通区間でバス高速輸送システム「バス・ラピッド・トランジット(BRT)」を導入し住民の交通手段を確保。地元の要望に応じて鉄道駅以外の場所に駅(バス停)を設けて利便性を高めた。トンネルや線路跡を利用して専用道を整備したことで定時運行を実現。鉄道の復旧に先駆け、交通網を整備し復興に必要な人的交流を後押しする。
 BRTは2012年12月に気仙沼線の不通区間である気仙沼―柳津間(約55キロメートル)で本格的な運行を開始。鉄道の復旧と並行し「仮復旧」という形でBRTの導入に踏み切った。3月には大船渡線の不通区間気仙沼―盛間(約44キロメートル)でも運行を始め、柳津―盛間の三陸沿岸部がBRTでつながった。

 【住民に配慮】

 BRTはバスの特徴を生かし、地元の要望にも柔軟に対応している。南三陸町にある気仙沼線の志津川駅は当初、鉄道駅跡に設けられていたが、復興商店街「南三陸さんさん商店街」に隣接する約1キロメートル北西の地点に移転。鉄道駅の周辺は更地のままで人通りが少ないため、地域住民の利便性に配慮した。
 また、避難所として利用されていた南三陸町総合体育館「ベイサイドアリーナ」の近くには鉄道駅はなかったが、BRTの駅を設置。ベイサイドアリーナ駅周辺は、町役場の仮庁舎や診療所が置かれるなど市民生活の中心となっている。

 【専用道を整備】

 トンネルや線路を活用してBRT専用道も整備する。気仙沼線では最知―陸前階上間の2・1キロメートル、陸前港―歌津間の2・3キロメートルなど6カ所で専用道を供用。専用道の距離は合計で11・6キロメートルになっている。
 専用道を走ることで、一般道を走る路線バスのような道路渋滞の影響を最小限に抑え、定時運行による高速輸送を実現。今後はBRT運行区間の約7割を専用道として整備することを目指す。
 ほかにも運行状況を駅舎のモニターで確認できるロケーションシステムも採用。8月に専用のICカード乗車券「odeca(オデカ)」を導入する予定で、利用者のサービス向上につなげる。
 被災地の復興には鉄道の復旧が不可欠だ。しかし震災の被害を踏まえた安全面での対策や、まちづくりとの整合性など課題が多く、すぐに実現できないのが現状だ。JR東日本は地元自治体などと鉄道復旧に向けた協議を継続しつつ、代替輸送手段のサービス拡充に努める。鉄道の本格的な復旧に先駆け、人やモノの流れを再生させて地域の復興を支援していく。
 (高屋優理が担当しました)


【2013年5月28日 日刊工業新聞社】