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JR東、地域振興にリンク−駅スペース活用物販好調

 JR東日本の駅スペース活用事業が好調だ。駅構内における小売りや飲食業の2012年度売上高は前期比2.1%増の4042億円と2年連続で拡大した。その背景には商業施設の開業のほか、東北地方を中心とした特産品の販売に力を入れてきたことがある。駅スペースの活用事業に乗り出して10年。今後も運輸部門以外の事業を強化し、「駅ナカ」のニーズを的確に捉えた店舗開発を進め、さらなる物販事業の拡大を目指す。(高屋優理)

 【増収増益に】

 JR東日本の12年度の駅スペース活用事業は前年度の東日本大震災発生に伴う影響の反動に加え、東京駅構内の商業施設「グランスタ」の増収や「セントラルストリート」の開業効果などにより増収増益となった。今秋には八重洲側の自由通路に商業施設「グランルーフ」のほか、武蔵境駅にも商業施設を開業する予定で、さらに収益の拡大を予想する。

 物販事業の中でも注力しているのが東北地方をはじめとした地方の特産品販売だ。駅コンコースなどで不定期に実施している物販イベント「産直市」。12年度は駅ナカを中心に283件、延べ2044日間行った。

 11年度は延べ1300日だったことから、開催日だけで約1.6倍となった。

 【需要を喚起】

 その理由は東日本大震災の被災地を中心に観光素材の掘り起こし、地域の活性化と復興につなげることを第一に位置づけているためだ。冨田哲郎社長は「特産品の需要喚起などで地域に貢献したい」と意欲を示す。

 産直市に加え、地域の特産品の発掘に一役買っているのが、12年1月に上野駅で開業した常設地産品ショップ「のもの」だ。3―4週間ごとにテーマとする地域を変え、地方の特産品を販売している。

 地域内にとどまっていた農産品や銘菓などの販路を新たに創出し、地域と首都圏がつながる「場」を提供している。

 JR東日本が「ステーションルネサンス」と題し、駅スペースにおける物販事業の強化に乗り出したのは02年。上野駅に商業施設「アトレ」を開業したのが始まりだ。駅スペース活用事業の取り組みから10年が経過し、駅ナカのニーズも変化しているという。駅スペース活用・資産管理部門の菅野研也課長は「品川駅などは1階は通過する人が多いが、2階はゆっくりショッピングをする人が多いなど流れが違う。駅や場所でニーズを考えながら店舗の開発を進めたい」と話す。

 【集う施設に】

 02年以降、次々と商業施設を開業してきたことで、新たに開発できる駅のスペースは多くない。そこでJR東日本は駅の改良工事に伴う商業施設の開発を進める。今後も駅ナカニーズを的確に捉えて駅の可能性を広げ、「通過する駅から集う駅」とし、運輸収入とともに物販事業の拡大につなげていく構えだ。


【2013年5月22日 日刊工業新聞社】