HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

東京スカイツリータウン開業1周年−集客力、点から面へ

 東京スカイツリータウンが22日に開業1周年を迎える。これまでの来場者数は、スカイツリーが554万人(3月末時点)、スカイツリータウン全体が5000万人超(5月14日時点)。単純には比較できないが、国内最大級の集客施設である東京ディズニーリゾートの2750万人を大きく上回って推移している。一方、2年目以降は地域との連携などにより、この集客力を点から面に広げることが課題になりそうだ。

 【連日の盛況】

 東京スカイツリータウンの商業施設「ソラマチ」に、墨田区観光協会が設置した伝統工芸・文化のPR店舗「すみだまち処」。この間、来場者は123万人を数え、売上高3億円超に達している。ソラマチは連日、盛況だ。

 「商店街の客を商業施設が吸い上げている」。一方、地元ではこうした声もある。ただ「商店街が影響を受けるのは避けられない。これは当初から予想できたことだ」との指摘もある。これらを受け、墨田区は地域に経済効果を波及させる施策に取り組む方針だ。

 墨田区に隣接している台東区の観光連盟は「2012年は東日本大震災で落ち込んだ観光客が戻ってきたこともあり、現時点ではスカイツリーの経済効果を把握しにくい」としている。ただ、国内屈指の参拝客数を誇る浅草・浅草寺にほど近い店舗は「開業後から遠隔地の客が増えた」と喜ぶ。

 【観光資源を活用】

 こうした中、東武グループは修学旅行の誘致、スタンプラリーの実施など周辺地域の観光資源を活用した誘客に取り組んでいる。アジアを中心に海外観光客の誘致も強化。3月に台湾で現地旅行会社への説明会を開いたほか、5月に台湾・高雄の旅行関連の展示会に出展した。

 ゴールデンウイーク期間中(4月27日―5月6日)の来場者数は東京スカイツリーが約19万3000人、東京スカイツリータウン全体が約177万人。この集客力を地元関係者、行政が一体になって生かす取り組みが求められる。

 【じわり波及】

 東京スカイツリーの集客効果は、東武グループの観光施設にもじわりと広がっている。世界遺産などを25分の1縮尺のミニチュア模型にして展示している東武ワールドスクウェア(栃木県日光市)は「スカイツリーと日光・鬼怒川地区とのパッケージツアーが組まれている。関西の親戚をスカイツリーに案内後、来場した人もいた。効果はある」と期待を寄せる。東日本大震災の復興もあったと見られるが、12年度の来場者数は前年度比約10万人増の41万人に回復している。また栃木県はスカイツリータウンにアンテナショップ「とちまるショップ」を置いている。初年度の売り上げ目標は2億円だが、3月末時点で2億2800万円になった。3月21日までの累計来店者数は210万人で、「商品を売るだけではなく、栃木県の魅力をアピールして誘客するための戦略を練る」(県担当者)としている。

 【アピールの好機】

 一方、東武動物公園(埼玉県宮代町)は、スカイツリータウンで「ふれあい移動動物園」を開いている。12年11月以降4回開催した。ポニーやモルモットなどとのふれあいや写真撮影を企画。人気のアルパカが登場したこともある。

 「スカイツリーは全国から人が集まる場所。地元の埼玉県民以外にも動物園をアピールできる良い機会。月1回は開きたい」(広報担当)と意気込む。

 【インタビュー/東武タワースカイツリー社長・鈴木道明氏「外国人旅行者の誘客本格化」】

 東武タワースカイツリーの鈴木道明社長に2年目以降の取り組みなどを聞いた。

 ―22日に開業1周年を迎えます。

 「現場を中心にお客のニーズを蓄積し、取り入れ、大きな事故もなくやってこれた。交通渋滞を懸念していたが、バス利用などでおおむね順調だ。リピーター(再訪問客)も少なくない。スカイツリーに10回訪れた方もいると聞いている。ソラマチは地元の皆さまにも利用されている」

 ―2年目以降の施策は。

 「スカイツリーは年間644万人の来場者を目標にしている。西日本地域の需要の掘り起こしや外国人旅行者の誘客を本格化する。全体の来場者から見ると、12年の海外旅行者は低レベルにとどまった。東武グループの鉄道、ホテル、タワー、旅行の各分野が連携して台湾でPRしている」

 ―地域との連携についてはどう取り組みますか。

 「地域には応援してもらっていると実感している。3―4月に実施した『桜スタンプラリー』では台紙を2000冊用意したが、あっという間になくなった。5月から第2弾『下町スタンプラリー』をスタートし、地域への周遊を促している。ひとつずつ仕掛けをつくり、長い目で地域の人の動きをつくりたい」

 ―スカイツリーには国内最高水準の技術が採用されていることも魅力の一つですね。

 「実はスカイツリーの心柱内部の非常階段を上ってみたいという声もある。機会を見つけて、スカイツリーに使われている日本の技術を一つひとつ紹介したい」

 (東東京支局長・中野徹二)


【2013年5月15日 日刊工業新聞社】