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変わる販売促進戦略/西日本高速道路−SA利用者向けスマホアプリ

 西日本高速道路はSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)の利用客向けに、スマートフォン(多機能携帯電話)用アプリケーション「トクスコ」の提供を4月18日に始めた。賞品が当たる抽選や観光施設の割引券引き換えなどができ、利用は無料。利用客の楽しみと観光振興による地域活性化を狙い、運用は広告収入でまかなう。他の高速道路では例が無い取り組みだ。

 オンライン上の情報提供でオフライン(現実)での行動を促す「O2O(オンラインtoオフライン)」の仕組みを取り入れた。

 桑田俊一常務執行役員は「お得でワクワクする体験をしていただく新サービスの提供と、O2Oの考え方を用いた新ビジネスモデル構築への挑戦という二つの側面がある」と話す。まず大津SA下り線(大津市)で始めた。

 メニューは4種類ある。「チェックインロト」は事前に登録した好きな数字4ケタで、菓子などの賞品が当たる抽選に参加できる。スマートフォンの全地球測位システム(GPS)機能を使い、SAに到着してトクスコを起動すると自動的に抽選が始まる。ほかに観光施設の利用券などが当たる抽選もある。

 「おトクプリント」は大津SAにあるトクスコ専用複合機で、紙のゲームやオモチャが印刷できる。現在はタカラトミーが子供向けのコンテンツを提供。「子供がぐずって困る」という高速道路利用者が多く、要望に応えた。コンテンツ提供企業や内容は、大人向けも含めて今後拡充する。

 「おトクな観光情報」は周辺の観光施設などの割引券が専用複合機で出力できる。現在は大津市内の施設7カ所を用意し、順次拡充する。

 このほか、西日本高速の交通情報やSA・PA情報などを紹介する「おトクな高速情報」がある。おトクプリントとおトクな観光情報は、高速道路利用前に自宅などで確認できる。アプリの情報を元に大津SAに立ち寄り、観光へ促す狙いだ。

 観光割引券やゲーム提供、アプリ運用に必要な費用は広告収入でまかなう。単なるアプリ画面上の広告ではなく、おトクプリントで出力する紙の裏での広告や、チェックインロトの賞品など、アプリの仕組みを活用した広告を想定する。「楽しめるコンテンツで利用者を増やし広告収入を得て、観光協会などのご負担なく観光情報を提供し地域活性化につなげたい」。ボランティアではなく事業モデルを構築することで、持続性がある地域支援を図る。

 協力企業は2社。富士ゼロックスが複合機や印刷関連技術を提供する。ベルロックメディア(東京都新宿区)はコンテンツ企画や編集などを行う。

 西日本高速道路では、高速道路の価値を引き出そうと新事業を検討する「事業創造委員会」を設立し、ビジネスパートナーを募集。その際の提案がきっかけで実現した。全事業費は非公表だが、西日本高速道路が負担した初期投資額は約3600万円。

 コンテンツ内容は利用動向を見ながら検証し、拡充していく。今後は2年以内に、関西4カ所、中国・四国・九州各2カ所の計10カ所のSA・PAで展開し、アプリ会員20万人を目指す。「他の場所の観光情報なども確認できれば、ますます面白くなる」と、複数地域のネットワーク化による新たな活用策も検討する。(大阪・吉岡尚子)


【2013年5月10日 日刊工業新聞社】