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地域資源活用チャンネル

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地域産業の息吹/海外展開編(下)

 【石川/九谷焼、海外メーカーと協業】
九谷焼といえば石川県南部で生産される色絵の磁器で、世界的にも知られるブランド。ここで、海外ブランドとの協業により、新市場開拓に成功した企業がある。

 九谷焼窯元の鏑木商舗(金沢市)は、磁器とガラスを組み合わせたワイングラスなどを商品化、ヒット商品に育てた。グラスのステム(足)部分は九谷焼で、グラスの器部分はドイツの老舗グラスメーカー、シュピゲラウのガラスを用いた。また、酒グラスでは器部分にスロバキアのクリスタルガラスメーカーであるロナのガラスを使用した。

 当初、日本メーカーのガラスを用いて、欧州の展示会で注目された。ただ欧州ではワインの種類ごとに適したグラス形状があり、その対応が求められた。そのため現地のガラスメーカーを探し、シュピゲラウの賛同を得た。「シュピゲラウのガラスはやさしいイメージで、日本の焼き物と合う」(鏑木基由社長)と人気の理由を説明する。

 シュピゲラウのガラスを用いたワイングラスの平均単価は2万5000円。来日する海外の要人への贈り物にも使われる。

 【愛知−毛織服地、高級ブランドに供給】
 毛織物業の集積地で知られる愛知県一宮市を中心とした尾州地域。同地域の戦略ブランド「ジョイント・尾州」が、産地独自の織りや染色の技法を融合したテキスタイルを提案し、「エルメス」や「クリスチャン・ディオール」「アルマーニ」など高級ブランドとの取引を獲得するなど、世界ブランドとなっている。

 同地域は受託加工が中心で、企画力や発信力が弱かった。これを打破しようと2004年に有志23社が戦略ブランドを立ち上げた。毎年、パリやミラノなどで展示商談会を開催し、名だたるブランドとの関係を築きあげた。さらに中国・上海市の展示会にも出品。東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドなど新興国市場も視野に入れる。

 独自の技術で海外ブランドから高い評価を受ける企業もある。シバタテクノテキス(愛知県一宮市)は、「他社が断る異素材の織物にチャレンジする」(柴田昇社長)ことで、存在感を示す。異素材織物は糸の張力管理や織機の調整など高い技術が必要だ。すでに複数の糸をよりあわせた加工糸と極細フィラメントによる生地など差別化できる商品を実現。その魅力から国内向けに加え、欧州高級ブランド向けの服地の受注も着実に増えているという。

 【滋賀/鉛フリー銅合金が米で評価】
 滋賀県彦根市は3B(バルブ、仏壇、ブラジャー)が地場産業。中でもバルブは年間生産高が200億円超と滋賀県有数の産業だ。ここで生まれた鉛フリー銅合金「ビワライト」が、米国進出した。米国のインゴット最大手のアイシューマン(オハイオ州)に製法をライセンス供給する契約を結んだ。

 同合金は滋賀バルブ協同組合や関西大学、滋賀県の産学官で開発した。鉛の替わりに硫化物を拡散した。普及・販売専門会社ビワライトを滋賀県と同協同組合が設立し、事業展開している。2007年の開発時は水道向けなど鉛溶出基準を満たす材料と期待したが、コスト面の課題から普及は遅れていた。

 そこで市場を海外に求めた。10年に米国の水道関連展示会に出展したところ、期待以上の反響で、水道機器世界大手のフォードメーターによる評価試験まで短期間で進展。米国では14年から水道機器材料などの鉛含有量の規制強化で、新材料が必要だった。製品化試験などを経て、米バルブ2社が採用を決定。今年に入りアイシューマンへのライセンス供与やサブライセンス供与も多数決まった。こうした動きを受け「評価の逆輸入」による国内での本格普及が期待されている。


【2013年5月3日 日刊工業新聞社】