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地域資源活用チャンネル

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地域産業の息吹/海外展開編(上)

 経済がグローバル化する中で、地域の産業も市場を世界に求めはじめている。日本国内では成熟したと思われていても海外では新たな価値を持つ技術や、海外企業の技術やマーケティング力と組むことで魅力を増す製品も多い。また、需要を海外に求めることで、市場規模が拡大し、新たなビジネス展開も開ける。海外で評価されるかっこいい地場産業「クールJIBA」が各地で存在感を高めている。

【福島/“世界一薄い”織物に脚光】
 「フェアリーフェザー(妖精の羽根)」と呼ぶ織物は、その名の通り世界一とも言われる薄さが特徴だ。光沢のある表面が玉虫色に変化する。デザイナーを魅惑し、海外の“スーパーファッションブランド”の採用も相次ぐ世界が注目する素材だ。

 製造するのは齋栄織物(福島県川俣町)で、太さ1・6デニール(髪の毛の約4分の1の太さ)の極細生糸を織り上げる。織り方や織機も独自に開発し、高い品質で安定生産するようにした。

 福島県川俣町は絹織物「軽目羽二重」の産地。この技術を進化させ世界ブランドの織物を生み出した。齋栄織物も加盟する福島県絹人繊織物構造改善工業組合(福島県川俣町)は、テレビドラマ『八重の桜』で全国からの集客が期待できる福島県会津若松市に川俣特産の絹織物を販売するアンテナショップ「小手姫の衣」を展開。川俣町からも7店が出店し、伝統の軽目羽二重のストールなどをアピール。フェアリーフェザーに続く素材の育成を進めている。

 同組合の齋藤泰行会長(齋栄織物社長)は、「伝統を磨き、超えることで、福島から世界に発信できる製品を作り続けたい」と話す。

【新潟/デザイン力で金属製品発信】
 洋食器や台所用品などの各種金属製品の産地として有名な新潟県燕市では、「デザイン」の力で海外展開を進めようとしている。

 燕商工会議所は2010年から、世界的な工業デザイナーの奥山清行氏と連携。木の枝のような形をしたフォークや、ステンレス製ワイングラスなど斬新なデザインの日用品を製作した。外面は、燕地域の誇る金属研磨技術で美しく輝く。

 昨年から2年連続で、フランスのインテリア関連の世界的な見本市に出展。今年はロシアやモロッコの業者とも具体的な成約に至った。奥山氏がデザインした茶器を製造した、鎚起(ついき)銅器の玉川堂(新潟県燕市)は、ロシアの業者から数百万円分の受注が決まった。受注したのは奥山氏がデザインしたものではなかったが「バイヤーが最初、茶器に注目し、そこから話が進んだ」(玉川基行社長)という。

 玉川堂は約200年続く老舗。今回の受注を通じ、「日本のオリジナリティーと売りたい国の文化が融合するモノづくりが大切」(同)と新たな知見も得たようだ。 燕会議所では今後、奥山氏と連携を進めながら海外向けの製品数をさらに増やしていく。


【2013年5月3日 日刊工業新聞社】