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農水省、ミカン出荷を夏まで延長−包装材で品質低下抑制

 農林水産省は「不知火」などミカンの中・高級品種の出荷時期を通常より2―3カ月間遅らせることが可能な技術の普及に乗り出す。愛媛県や熊本県、佐賀県などは3―4月前後にミカンの出荷時期を迎え、大量のミカンが市場に出回ることから値崩れが起きやすい。そこで長期保存して出荷時期を夏まで遅らせれば高い価格で販売できる。付加価値を向上し、単価低下に苦しむミカン農家の収入安定にも貢献できる。保存がきくため、海外に輸出する際の武器にもなりそうだ。

 出荷時期を遅らせる新技術は3月、愛媛県農林水産研究所果樹研究センターみかん研究所(愛媛県宇和島市)と、熊本県農業研究センター果樹研究所(熊本県宇城市)が主体になり開発した。フィルム上の微細孔でエチレンガスなどの透過量を制御する包装資材「MA包装資材」で果実の呼吸量や品質低下を抑えた。

 さらにカワラヨモギ抽出成分などで作った製剤を果実表面に塗ることで味や香気の成分を維持。ミカンの品種により2度Cや5度Cなどの温度を維持した冷蔵貯蔵庫に入れて管理する。通常は5月ごろを限度とする出荷時期を7―8月の夏場まで延長。希少価値をアピールし、高価格で売ることが可能になる。

 ミカン農家は日照不足など気候変動による品質低下に加え、豊作による値崩れや価格競争が悩みの種となっている。そのため出荷時期を遅らせられれば一連のマイナス要因による収入のダウンや処分ロスなども回避できる。今後は不知火のほか、「河内晩柑」や「清見」、「せとか」、「媛まどんな」といったミカンの品種にも新技術が使えるように温度管理などの研究を急ぐ。


【2013年4月9日 日刊工業新聞社】