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誘客へ連携・栃木の観光戦略(上)4観光協会、12月に合併

 栃木県内で、積極的なイベント開催などによる観光誘客の新たな仕組みづくりが進んでいる。日光市内にある日光、鬼怒川・川治温泉、湯西川・川俣・奥鬼怒温泉、今市の4観光協会は12月1日に合併し「日光市観光協会」を設立し、観光業界を挙げた誘客が名実ともに動きだす。世界遺産である日光の社寺、鬼怒川や那須などの温泉、五つあるプロスポーツチーム、熱気球や自転車の国際大会など、さまざまな観光資源を県内外に訴求する動きを追った。(栃木・江上佑美子)

 旅館どうしが“宿敵”となるのではなく、協力して観光客を呼び込もう―。鬼怒川・川治温泉観光協会は秋季の夜間に温泉郷をライトアップするイベント「月あかり花回廊」に09年から取り組んでいる。「宿泊客を外に出すことに反対する旅館もあったが、鬼怒川を売り込むため地域がまとまってきた」と波木恵美鬼怒川グランドホテル社長は手応えを語る。

 3月31日まで開催中の「きぬ姫まつり」では観光客がホテルや旅館を回ってつるし雛などを見学できるようにし、町ぐるみで歓迎ムードを醸成している。

 かつては団体客らでにぎわった鬼怒川温泉街は空き店舗が目に付き、夜は出歩く人も少ない。団体客から個人客への対応のシフトの遅れも一因で、「足利銀行破綻などの影響を受けたとはいえ、街が疲弊したのは自業自得の面もある」と渡辺幸雄日光商工会議所専務理事は辛口だ。

 ただ団結の機運は高まりつつある。12月1日には「日光市観光協会」が設立される。06年の市町村合併で現在の日光市が発足したが、観光協会一本化は名称や会費などで意見が割れたため遅れていた。増渕正男日光地区観光協会連合会事務局長は「海外にもアピールしやすくなる」とほっとする。3月27日に調印式を開く。

 「今までは来た人へのもてなしに集中していたが、これからは出向いて売り込む」と増渕事務局長は意気込みを示す。日光地区の旅館の女将は11年に「女将の会」を結成し、市外の信用金庫や百貨店などを精力的に訪れて観光地やイベントのPRに取り組んでいる。日光市や市内の観光協会は東日本大震災後、「ほとんど前例がない」(大島公一日光市観光部観光振興課長)という台湾や韓国でのPRイベントを開催。11、12年度は市外でそれぞれ約60回のイベントを実施した。

 日光商工会議所は08年、「日光検定試験」を始めた。渡辺専務理事は「地元の人が日光について説明する“もてなしの心”を身につけるきっかけになれば」と狙いを話す。


【2013年3月19日 日刊工業新聞社】