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つくろう!日本・東日本大震災2年/風評との闘い・日光

【客足止まる】

 日光東照宮をはじめとする世界遺産の日光の社寺。関東地方はもちろん、日本を代表する観光地の一つにも、東京電力福島第一原子力発電所事故の風評被害は及んだ。しかし、安全への理解が進み、2012年の観光客数は「ほぼ東日本大震災以前の水準に戻ってきた」というのが地元関係者の認識だ。

 震災前の10年の日光市の観光客数は約1137万人、宿泊者数は361万人だった。震災による建物損壊などの被害はほとんどなかったものの、風評被害や、自粛ムードの影響を受けた。「11年のゴールデンウイークには日光を応援しようという人が来てくれたが、その後パタリと客足が止まった」(増渕正男日光地区観光協会連合会事務局長)。11年の観光客、宿泊客数は10年に比べともに24%減となった。

 かつては「東京の奥座敷」と称され、団体客でにぎわった鬼怒川温泉街も夜は閑散とし、食事を取る場所も見つけづらい状態だ。ただ「客足が減ったのは震災だけが原因とは言えない。努力しなくても客が来る状態に慣れてしまい、個人客対応などが追いついていないこともある」と渡辺幸雄日光商工会議所専務理事は厳しい見方を示す。

【2度の安全宣言】

 観光客の呼び戻しに向け日光市や観光関係者はこの2年間、さまざまな取り組みを展開してきた。放射線量に対しては、市は11年4月に2度も観光安全宣言を出すとともに、測定値を新聞やインターネットで発表した。東京や神奈川などから来る修学旅行生の保護者らの不安を解消するため、栃木県が実施している検査に加え、日光市が中心となって旅館や食堂で提供する食材の放射線量を測定。安全をアピールするビデオも作り、小中学校に配った。こうした努力が実り、「日光地区への修学旅行取りやめに至った学校は1校のみだった」(大島公一日光市観光部観光振興課長)。

 日光商工会議所と足尾町商工会は市内経済の発展などを目的に、プレミアム付き日光市共通商品券を発行した。1冊1万円で1万1000円分の買い物ができる内容で「東日本大震災後は東京などでもアピールし、誘客につなげた」(渡辺日光商工会議所専務理事)。

 12年5月に開業した東京スカイツリーでは、広場や最寄り駅の一つである押上駅に日光をアピールする看板を掲示。斎藤文夫市長が台湾や韓国でトップセールスをし、観光客の呼び込みに努めた。「震災後はほぼ毎週、市外で集客イベントを開いている状態」(大島課長)という。

【うれしい悲鳴】

 現在は小型のかまくらにろうそくをともして冬の夜を演出する「湯西川温泉かまくら祭」などのイベントで構成する「日光四季祭 冬の章」を市内各地で開催中で、「土日は車が渋滞し、旅館に泊まるのも苦労するほど」(増渕日光地区観光協会連合会事務局長)とうれしい悲鳴を上げる。こうした努力の継続が観光地、日光を守る。


【2013年2月28日 日刊工業新聞社】