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つくろう!日本・東日本大震災2年/風評との闘い・会津若松−『八重の桜』で巻き返し

 東日本大震災が過去に発生した大地震と決定的に異なるのは、原子力発電所の事故が発生し大量の放射性物質が飛散した点だ。東京電力福島第一原子力発電所の周辺には立ち入り禁止区域などが設定されている。目に見えない放射線への不安は、今なおいわれのない風評被害として地域経済に影を落とす。

【安全・安心PR】

 東京電力福島第一原子力発電所から西に100キロメートルの福島県会津若松市。会津地域最大の観光名所である会津若松城(鶴ケ城)は修学旅行の人気地だ。原発事故の風評被害で、大きく落ち込んだ修学旅行生がどこまで戻るかが地域の課題だ。しかし同市の観光業界は、今年1月に放映が始まったNHK大河ドラマ『八重の桜』に客足反転への大きな期待を寄せている。市観光課は「引き続き安心安全のPRをしていき、また『八重の桜』関連のPRも展開していくことで観光客を呼び込みたい」と意気込む。

 日銀福島支店の試算によると、ドラマ放映に伴う福島県内経済への波及効果は113億円。観光に絶大な影響力を持つ大河ドラマの舞台となり「観光復活への期待は大きい」(会津若松市の担当者)。会津若松市観光課によると、鶴ケ城天守閣の2012年度の入場者数は、震災前の基準である08年度に比べ約9割まで回復してきている。

【以前の3割未満】

 一方で修学旅行については、11年度は放射線への不安などの風評でキャンセルが相次ぎ、県外からの来訪校数は、前年度比約9割減の100校。12年度については修学旅行誘致関係者が、震災以前から会津若松へ多く訪れていた千葉、埼玉、新潟、宮城県などの各学校を訪問するなどし、理解を求めた結果、県外からは210校が修学旅行に訪れた。それでも震災前の3割にも満たない。

 13年度に向け、関係者は引き続き各県を訪問するとともに、12年は新島八重のもう一つのゆかりの地である京都の学校や、15年度末に新幹線の新青森―新函館(仮称)間の開業が予定されていることから、将来を見据えて北海道の学校や教育委員会なども訪問した。

 13年度の県外からの学校数については、宮城、千葉などの学校の訪問が増える見込みで、「400校は難しいかもしれないが、なんとか340―350校は目指したい」と、会津若松観光物産協会の渋谷民男統括本部長は力を込める。修学旅行誘致の切り口の一つとして、『八重の桜』を絡めたアプローチもしてはいるが、小中学生が相手なだけに、効果は未知数だ。特効薬もなく、「地道な努力を積み重ねていくしかない」と渋谷本部長は語る。

【続く懸命の努力】

 841校・6万2285人(震災前の10年度に県外から会津若松へ修学旅行に訪れた学校数・生徒数)―。真の復活を遂げるまで、関係者の懸命の努力は続く。


【2013年2月27日 日刊工業新聞社】