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立ち上がる!福島の元気企業(3)川仙食品−「切れる冷凍」で食材提案

 新たな冷凍技術による冷凍食材の用途開発に力を入れる川仙食品(福島県西郷村、鴇巣信裕社長、0248−25−3896)。公設試験研究機関である福島県ハイテクプラザなどの協力も得て、冷凍されたままの状態でも食材を容易にカットできる冷凍技術を開発した。2012年に特許を出願しており、新冷凍技術を用いた食品分野の新ビジネスを探っている。

 開発した冷凍技術は「セントピュアフリーズ製法」と名付けた。食材に高圧電場を加えることで、水分を凍らせることなく過冷却の状態とし、そこから水分と食材を瞬間的に冷凍させる技術という。電場を活用することで、食材の水分の蒸発が促される現象を冷凍技術に応用した。84年の創業以来同社は、川魚の養殖を手がけており、03年に養殖を始めた「ユキマス」の遠隔地への輸送を考える中で、冷凍技術に目を向けることなった。09年度に県の支援を受けたのを皮切りに、11年度には東北経済産業局の知財関連支援などを踏まえて技術を確立。食材を冷凍させるための条件把握など「膨大な失敗経験」(鴇巣社長)が財産になっている。電源装置など各種機器の構成には県ハイテクプラザの知見を活用した。

 これまで魚をはじめブロッコリー、アスパラガス、桃、ナシなど野菜・果物での効果を確認。食材は冷凍のままカットでき、食味、色などは冷凍前のまま維持される。冷凍後はマイナス20度C以下の通常冷凍で、約1年間の保存が可能という。東日本大震災前のビジネスプランでは輸送への利用を視野に入れていたが、福島第一原子力発電所の事故による影響から地元食材の長距離輸送などへの利用は見合わせることなった。

 現在同社は、新冷凍技術による冷凍食材の用途開発に力を入れる方針だ。主力の川魚の養殖事業は、原発事故の影響で首都圏などの顧客が減少した。今後は新冷凍技術を使った「新しい食材」の利用法を各方面に提案して新境地を開こうとしている。


【2013年2月15日 日刊工業新聞社】