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立ち上がる!福島の元気企業(2)マクタアメニティ−循環型農業で逆風に挑む

 東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故で、福島県の農業は崖っぷちに追い込まれた。この状況から福島の農業再生を目指しているのが、マクタアメニティ(福島県伊達市、幕田武広社長、024−577−4301)だ。新しい風を起こし、根強い風評被害に立ち向かおうとしている。

 「こういう大逆風、大逆境のときだからこそ、農業という産業の基盤強化を考えなければならない」。幕田社長は風評被害に立ち向かう新しい戦略構築の必要性を訴え続けている。そこで提案しているのが、有機性廃棄物のリサイクルシステムと農業生産流通を一体化した「アグリSCM(サプライチェーン管理)システム」だ。

 スーパーや食品工場などの食品残さから良質で安全な堆肥を作り、それを肥料にして農産物を育てる。そして安心・安全な農産物を消費者に提供するという循環型を取り入れた。こうして生産された農産物を製造業のサプライチェーンマネジメントを応用した独自の流通システムで、生産者に届ける新しい試みだ。

 同社は需給バランスが日々、変化する農産物を情報通信技術(ICT)を使い需要予測し、品質維持と安定した物流コストで高級スーパーや百貨店、飲食店などに届けてきた。震災前、扱う農産物はブランド品として消費者に支持されてきた。

 しかし、震災で状況は一変。これまで50軒ほどの農家の生産・流通を支援してきたが、原発事故の影響で10軒の農家が避難を余儀なくされた。震災後は農産物一つひとつを放射能測定器で測り、出荷してきたが、放射性物質が検出されないというだけでは競争力になりえない。「これから先も風評は続くかもしれない。だが、新しいスタイルの農業を提示し続けて難局を乗り切るしかない」。

 2013年1月9、10日に東京都内で開かれた福島県産農産物の試食会。幕田社長は契約農家が育てたほうれん草を出品した。料理人たちが口にすると「こんな甘みのあるほうれん草は食べたことがない」との声が上がった。かすかな手応えを感じた。


【2013年2月14日 日刊工業新聞社】