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名古屋市、観光都市へ始動−江戸時代の城下町再現

 名古屋市が、従来は薄かった「観光都市」のイメージ作りに奔走している。名古屋城の周辺に江戸時代の城下町を再現する「世界の金シャチ横丁(仮称)」計画が2013年に始動するほか、市内の鉄道でSL機関車を通年運行させる構想も浮上。自動車や工作機械、航空機などモノづくりの中心地といったイメージに加え、観光拠点としても魅力を高める。(名古屋・杉本要)

 「どえらけにゃあ(すごい)おもしれぇ街、ナゴヤを作りたい」。河村たかし名古屋市長は、名古屋を観光都市に押し上げようとさまざまな手を打つ。

 その一つが「金シャチ横丁」計画。名古屋城の正門前や最寄りの地下鉄出入り口付近に芝居小屋や歴史展示施設、食文化を楽しむ横丁を整備し、街の“にぎわい”創出を目指す。市は16年度以降の一部開業をめどに準備を進めており、13年5月には約2週間の社会実験も実施する。民間負担分なども含めた全体の事業費は20億円規模になる見込みだ。

 もう一つが、SLの通年運行。河村市長は「名古屋を鉄道の聖地にしたい」と、市などが出資する第三セクターの名古屋臨海高速鉄道あおなみ線でSLの通年運行を目指す。市長方針を受けて市が13年2月に予定する走行実験(名古屋駅―名古屋貨物ターミナル間の約5キロメートル)には、関連予算として12年度に4000万円が計上された。

 13年度以降の通年運行は現時点で未定だ。「沿線住民や利用者への影響を検証しながら事業化を検討したい」(市交通施設管理課)。ただ市民の注目度は高く、12年12月に締め切った一般試乗者の募集には、4万通の応募が殺到し、最終的な倍率は100倍以上になる見込みだ。

 名古屋市が観光資源の開拓を急ぐのは「市内には観光施設が分散しており、基点となる施設がなかった」(観光推進室)ためだ。金シャチ横丁では自動車の歴史を展示する他の既存施設などへの周遊機能を充実させ、名古屋観光の定番ルートとする考え。また繊維や陶磁器など伝統産業の技術を展示する空間も横丁内に設置し、歴史観光都市としての魅力向上も狙う。

 27年にはリニア中央新幹線の品川―名古屋駅間が開通する。東京から最速40分でアクセス可能になり、中部地区の拠点として名古屋の必要性が薄れる恐れもある。名古屋市はリニア開通を好機とするべく、観光拠点の整備で内外の観光客を呼び込む考えだ。


【2013年1月11日 日刊工業新聞社】