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沖縄リポート/地場食品・衣料メーカー、県外・海外に進出加速

 沖縄の食品や衣料品メーカーが地域資源を活用し、さらに品質を高めることで県外で販売しようという動きが活発化してきた。これまで県内市場にだけ向いていた企業の目が、支援機関などによる施策で県外や海外へ向かうようになったためだ。また那覇空港の物流ハブ化を背景に県外メーカーの進出が増加しており、これら企業との沖縄企業のマッチングが進めば、県外進出の動きがさらに加速する可能性がある。(西部・三苫能徳)

 沖縄と本土の距離感はリゾート気分を味わわせてくれるが、沖縄の製造業者にとっては輸送コストという高い壁となり県外進出を阻んできた。さらにその壁が、販路開拓への内向的意識につながりもう一つの壁になっていた。

 その壁を壊そうと、沖縄銀行と中小企業基盤整備機構(中小機構)沖縄事務所は「おきぎん美(ちゅ)ら島商談会」を2010年から実施している。地場食品メーカーと県外バイヤーを結ぶ場であり「地場企業の成長が目的」と沖縄銀行の又吉司事業戦略支援室上席調査役は話す。

 企業の意識を外向きに変えるとともに、販路開拓のためのスキルを向上させるのも狙いの一つ。セミナーや開催後のヒアリング、アドバイスを通して企業を伸ばす作戦だ。12年10月開催分にはメーカー約60社、海外12社を含むバイヤー33社が参加。商談会当日の成約は前年の27件から48件に増加した。回を重ねるごとに「確実に成長している」と又吉調査役は自信を深める。

 一方で同商談会に参加した、ある大手量販店のバイヤーは「マーケット・インの商品開発が足りない」と、素材の良さと沖縄のイメージに頼り過ぎている点を指摘する。国内や中国内陸部など東アジアにおいては「沖縄」という言葉が持つイメージと、ブランドには大きな力がある。

 他方、タイから参加したバイヤーは「沖縄に固有のイメージはなかった」と明かす。だが同時に「どれも商品がおもしろそうだ」と、日本製の質の高さを背景に関心は高い。課題は県境や国境を越えるだけの商品開発力や付加価値だ。

 フジタカクリエイション(沖縄市)は、県境を越えた企業の一つ。11月末に東京都内に自社店舗を開設した。「かりゆしウエア」メーカーとして培ったプリント技術を核に、中小機構の支援事業で東京の衣料品メーカーのアドバイスを受けた。沖縄モチーフを使ったスカーフなどで年間6000万円の販売を目指す。

 売れる商品づくりにおいて、マーケティング視点を取り入れた開発は欠かせない。しかし同時に「メード・イン沖縄」の品質にこだわり、生産体制を整えるには品質向上と効率化が不可欠だ。

 それには沖縄に進出が進む県外の機械系メーカーや加工業者の力が役立つ。高い生産技術を持つこれら県外企業と、食品や衣料会社との協力は可能だ。進出した機械メーカーにとっては、生産拠点としての位置付けだけでなく、市場としての可能性も見いだせる。機械メーカーとのマッチングが進むことで産業全体の底上げが期待できそうだ。


【2013年12月26日 日刊工業新聞社】