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前橋駅前に新たな顔−商業施設開店、空き家状態解消

 群馬県の県庁所在地である前橋市の“玄関口”に新たな顔が誕生した。JR前橋駅北口の旧イトーヨーカドー跡に飲食店や企業が入居する複合商業施設「EKITA(エキータ)」が15日オープン。新たな民間企業が運営に乗りだし、2年以上続いた空き家状態が解消した。同駅を中心とした町づくりに拍車をかけて市全体ににぎわいを波及させられるか。限られた再生のチャンスを逃すわけにいかない。(群馬・柿崎誠)

 【大きな効果】

 「明かりがともるだけでも大きな効果だ」。中心市街地の活性化に取り組む前橋商工会議所の曽我孝之会頭(中屋商事社長)は笑みを見せる。エキータの建物は地上6階、地下1階と屋上駐車場。特産品を扱う店舗や飲食店、雑貨店などが入る。地場大手のコンビニエンスストア、セーブオン(前橋市)が出店して前橋駅前のコンビニ空白状況も解消した。

 約13億円を投じて再開発に手を挙げたのは、地方や都市圏の駅前再生で実績を持つ不動産コンサルタントのやまき(東京都港区)。年間200万人の来場客を見込み、1200人の新規雇用を生む。

 地産地消の直売に定評があるファームドゥ(前橋市)の岩井雅之社長も「郊外の大型店舗ばかりで前橋駅前に人がいない。群馬の良い物をたくさん売れる」とスーパーの運営で群馬らしさを打ち出す。

 富士通グループで現金自動預払機(ATM)関連のソフトウエア開発を手がける富士通フロンテックシステムズが入居する。泉久信社長は「災害時の社員の足も確保できる最適地」と評価。分散していた協力企業の人員も同じフロアに集まり「仕事の効率がアップする」と期待を込める。

 【点から面に】

 一方、人の流れを「まちなか」へどう呼び込むかが大きな課題だ。前橋駅北口から3キロメートル圏内には県庁に続くけやき並木があり、そこを抜ければ昔ながらの商店街がある。だが、同駅の一日平均乗車人員は03年以降、1万人を割り込んでいる。県の2大都市の一つで新幹線が通る高崎駅の3分の1ほど。駅前の再開発は人の流れを点から面に改善する格好のチャンスとなる。

 「法律の解釈ギリギリまで法人を応援する。法律を超えるなら国に頭を下げてでも要望にお応えする」。前橋市の山本龍市長は10月下旬に東京都内で初めて開いたシティーセールスで力強く話した。首都圏から集まったバイヤーや旅行会社、ゼネコン大手、旅行メディアなどが前橋の特産品を食べながらうなずく。

 県庁所在地別の路線価は6年連続で全国最下位に低迷し、市のオフィス空室率は30%を超える。一方、中学生まで無料の医療費など行政サービスの充実ぶりは意外と知られていない。前橋中心部の活性化は企業誘致にもつながるはず。市はエキータに入居する企業に補助金を用意した。

 市民公募のエキータの名称には「益多」などの意味が込められた。車社会が根付く地方都市で「まちなか」に人を呼び込むモデルとなるか。勝負はこれからだ。


【2012年11月16日 日刊工業新聞社】