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東北リポート/有機EL照明で「おもてなし」−米沢の工芸品・特産品照らす

 有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)照明でおもてなし―。山形県米沢市の伝統工芸品として知られる「米沢織」、特産品として名高い「米沢牛」と次世代照明として今後の普及が期待される有機EL照明の連携が米沢で進んでいる。有機ELは山形の強みの一つ。市内には有機EL照明パネルメーカーも立地する。高付加価値のモノづくりに向け、地域の産学官がタッグを組むなど新たな需要の創出を目指している。(山形支局長・大矢修一)

 米沢繊維協同組合連合会(米沢市、佐藤和男理事長、0238‐23‐3525)は今月、有機EL照明を使った新作展示会を開く。着物や洋服地など展示物の色彩をより自然に見せる高演色性を特徴とする有機EL照明を用いて新しい展示スタイルを試みる。伝統工芸品の米沢織と先端技術の有機ELとのコラボレーションを広く発信するのが狙いだ。

 有機EL照明を使った新作展示会は9、10の両日、京都市下京区の京都友禅ビルで開く展示会を皮切りに、11、12の両日にも東京・北青山のテピアで開く。同連合会の設立50周年記念事業の一環で、地元、米沢では11月に予定している。

 有機EL照明器具は、パネル5枚で構成する着物向けのタイプ、今回新たに開発した卓上タイプと手で持ち運べるハンディータイプの3種類を用意する。製作は山形大学発ベンチャーのオーガニックライティング(米沢市)が担当。同連合会の佐藤理事長は「米沢織と有機ELをアピールして、相互に需要を開拓したい」と期待している。

 一方で、吉祥(米沢市、吉沢昭浩社長、0238‐23‐1128)は、経営する米沢牛・郷土料理店「吉亭」に有機EL照明を9月に導入した。照明の開発は、同社の依頼を受けて地元産官のグループが手がけた。製品化には山形県と米沢市の有機EL関連の助成制度を活用した。吉亭は県内外からも多くの利用客が訪れる料理店。米沢の特産品である米沢牛と有機ELの連携で地域の産業振興に一役買う考えだ。

 今回導入した有機EL照明は、吉亭の和室に設置した「ManNen灯」(消費電力39ワット)と、テーブル席に設置した「YUKI AKARI」(同4ワット)の2種類。開発主体はタカハタ電子(米沢市)で、地元産官がチームを組んだ。

 山形県は2003年から7年間、山形大学とともに新たな産業基盤の形成に向けた「有機エレクトロニクスバレー構想」に取り組み、その基盤を米沢に築いた。一つの成果としては、08年に三菱重工業などが共同で設立した照明用有機ELパネルの製造会社ルミオテックが米沢市に立地した。県内で製造された有機ELパネルを活用した高付加価値なモノづくりが地元企業の大きなテーマでもある。

 有機EL照明の導入について、吉祥の吉沢社長は「日本のモノづくりを応援したいと常々考えていた」という。産学官がタッグを組んで有機ELのまち“米沢”を産業界に浸透させようとしている。


【2012年10月9日 日刊工業新聞社】