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長崎県総合水産試験場、生きたイカを大量輸送

 長崎県総合水産試験場は、アオリイカや剣先イカを生きたまま容積率で10%以上と、従来比5倍の高密度で輸送できる技術にめどをつけた。五島列島から福岡市までの船便輸送、長崎市から東京・築地市場までのトラック便輸送の実験で成果を確認した。大量のイカを運べるため一匹当たりのコストが下がり、高級料亭でなく量販店で扱うことが可能になる。長崎水産試では今後、県内水産業者が使えるよう装置価格を2013年度内に1000万円以下に引き下げるとともに、水産業者と共同で他県との差別化商品で活イカを売り込む考えだ。

 イカは他の魚と比べても、生きたまま運ぶのが難しいとされる。新陳代謝が活発でアンモニアの排せつ量が多いほか、輸送中のストレスで共食いをしてしまうのが原因。アンモニアの分解で従来は微生物を使っていたが、分解時間がかかるうえ装置が大型になるのが欠点だった。県内企業と共同で電気分解装置を開発、共食いを防ぐため1匹ずつパックで分けるなど輸送方法も工夫した。

 イカは死ぬと体色が透明から白色に変わり「商品価値が3分の1や5分の1に下がってしまう」(柴崎賀広水産加工開発指導センター所長)。漁業者にとっては収入減となり、生きた状態で運べれば高価格で売れる。運ぶ量が少ないためこれまでは高級料亭やイケス付きの旅館などに扱いが限られていたが、量販店や外食などに売り込むことが可能になるとみる。

 課題は電気分解装置をはじめとするシステムの低価格化。実証試験で使った装置は数千万円するが、数百万―1000万円に引き下げて県内水産業者が使えるようにする。死んだイカに比べれば高い価格で売れるため収入増も期待できる。

【スルメイカのかまぼこ登場】

 長崎県総合水産試験場は、スルメイカをかまぼこなどの練り製品にする加工技術を開発した。スルメイカの筋肉たんぱく質は繊維状のミオシンが主成分で、食塩を入れるとボロボロになってしまう。クエン酸ナトリウムを特定比率で混合することで問題を解決、イカ独特の弾力のある練り製品ができるようになった。日韓両国で特許を取得済みで、中国でも取得を目指す計画。

 長崎県内の水産業者8社に技術を公開しソーセージやちくわなどの製品を開発中で、今後さらにアイテムを増やし差別化商品として売り込む考えだ。

 イカの風味を生かした製品では、これまでイカしゅうまいなど軟らかい食品や、エキスなどでイカ風味に仕立てた練り製品がある程度だった。スルメイカを原料とした練り製品がつくれることにより、独特のかみごたえや香り、色などを残す差別化商品が可能になる。スルメイカの含有率の多さをうたうことで、高級品のアピールにもなる。さらに傷がついたりしてこれまで捨てられていた、イカの有効利用にもなるとみている。


【2012年9月13日 日刊工業新聞社】