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ニュース拡大鏡/KNTとCT、来春統合−合従連衡進む旅行業界

 旅行業界に合従連衡の動きが出始めている。ともに近畿日本鉄道傘下にある近畿日本ツーリスト(KNT)とクラブツーリズム(CT)が2013年1月に経営統合し、業界2位の新旅行会社が誕生する。また、日本旅行とエイチ・アイ・エス(HIS)が国内旅行事業で共同商品を出すなど旅行会社同士の提携も進んでいる。背景には需要減少や、インターネット販売の急増による旅行市場の競争激化がある。(江刈内雅史)

 KNTとCTの経営統合は持ち株会社方式で進める。近鉄の連結子会社となる「KNT―CTホールディングス」を立ち上げ、その下にKNTの団体旅行を担う「KNT団体」、個人旅行の「KNT個人」、「クラブツーリズム」の3社が事業会社としてぶらさがる。各社の社長にはホールディングスに戸川和良近鉄副社長、KNT団体に小川亘KNT常務がそれぞれ就任。KNT個人とクラブツーリズムの社長は岡本邦夫CT社長が兼任する。吉川勝久KNT社長はホールディングス会長に就く。

 【もともとは…】
 KNTは店舗ネットワークを軸にした総合旅行会社なのに対して、CTは店舗を通さずに広告などで客を募る会員制の「メディア事業」が主体の旅行会社として性格が異なる。ただ、もとをたどればCTはKNTの一部門だ。04年に累損に悩んでいたKNTは、財務体質強化のため、完全子会社だったCTにこの事業を譲渡。その際に、CTは近鉄やファンドの出資を受けて、KNTから独立したという経緯がある。

 CTが営むメディア事業はKNTからの分離前から「(KNTの)一部事業として成績をあげていた」(吉川KNT社長)優良事業。KNTから稼ぎ頭を引き受けたCTはその後も発展したが、収益の柱を外されたKNTは苦難の道を歩んだ。店舗閉鎖、人員削減のリストラを経て「ようやく黒字を維持することができるようになった」(同)ばかりだ。今回の統合は高い利益率を誇るCTが、旅行事業を強化したい近鉄の意向の下、窮地が続く出身会社を救う側面が強い。たもとを分かった両社だったが、市場の縮減というプレッシャーが元親子に“復縁”を迫ったようだ。

 【店舗展開苦境に】
 国内の旅行市場は人口減少で減少傾向にある上、ネット販売の台頭が、特にKNTのような店舗展開をする総合旅行会社の苦境に拍車をかけている。こうした旧来型の旅行会社にとって需要開拓や販路拡大は生き残りに欠かせない。

 日本旅行は旅行予約サイト「じゃらん」を運営するリクルートとネット専用商品を展開。また、HISとも国内旅行事業で共同企画商品の販売を始めている。JTBも海外旅行の予約サービスでリクルートと提携している。生き残りをかけた統合や提携を模索する動きは今後も続きそうだ。

 

 


【2012年8月20日 日刊工業新聞社】