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暑さに強いおコメを−農水省、14年度めどに5品種以上開発へ

 農林水産省は2014年度までに、温暖化に強いイネの5品種以上の開発を目指す。現時点で高温による品質低下が少ない7品種を研究所ベースで開発済みで、今後、北陸や関東、九州など各地域で実際に栽培して、食味や耐病虫害性などを調べる。イネは夏場に高温になると米粒が白く濁る障害が発生し食味が低下、農家にとって収入が減るため深刻な問題になっている。各県の農業研究所などとも連携して、暑さに強いイネ品種の開発を目指す。(編集委員・嶋田歩)

 現在も長崎県の「にこまる」をはじめ、山形県の「つや姫」など、高温に強いイネの新品種が開発されている。新潟県の「こしいぶき」や千葉県の「ふさおとめ」のように穂が実る時期をコシヒカリより早くしたり、富山県の「てんこもり」のように遅くして温暖化対策にあてている品種もある。全国的にここ数年、高温の傾向が続いており、10年に起きた猛暑では各地でコメの食味や品質が低下、1等米で売れていた銘柄米が2等米でしか売れず、農家の収入にダメージとなった。温暖化が続くと銘柄米産地の経済にも大きな影響を与えることから、新品種開発を急ぐ。

 コメの品質や食味は白濁やアミロース含有率、たんぱく質含有率などに左右される。日本のコメはほぼ8割をコシヒカリ系が占めており、高温障害や倒伏害、耐病性などの栽培リスクが指摘されている。コシヒカリが高温障害でダメージを受けると日本のコメづくり全体や自給率に影響が及ぶため、高温に強い品種をかけ合わせたり、イネゲノム情報を活用することで、高温に強くて食味も優れた新しいイネ品種を作り出す。

 農水省農林水産技術会議事務局によると、研究所での栽培で食味が良くても実際に水田で栽培すると違う結果が出るケースも多いという。このほかに品種による土地適性の問題もある。九州のある県で結果が良くても、別の県でデータが悪いケースもある。これらを総合的に勘案しながら「ものになる品種を選抜」(技術会議)し、地域の特性に合った開発を急ぐ。


【2012年8月14日 日刊工業新聞社】