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首都圏リポート/地銀、商談会や参入支援−千葉の農業盛り上げ

 国内3位の農業産出額を誇る千葉県。この市場を狙い県内地銀が動きだした。商工業の資金需要が弱い中で、加工や流通まですそ野が広い農業は有望市場だ。各行が農業専任者を置き、商談会の開催や異業種からの農業参入支援など、取り組みを強化している。(千葉・江口象)

 7月下旬、県内地銀は相次いで農業商談会を開いた。千葉銀行の商談会には農業生産者47社とバイヤー14社が参加。一般的な商談会と異なり、生産者ではなくバイヤーがブースを設ける。生産者は商品の特長や取引条件をまとめたPRシートを手に、ブースを巡りプレゼンする。シートの作成や商談後のフォローは千葉銀行が支援。「営業が苦手な生産者が多い」(農業担当者)ことに配慮した工夫だ。京葉銀行も全国の第二地銀が開く展示会に取引先4社を出展し、県外バイヤーとの接点を作った。

 農業はもうからない―。これが銀行にとっての常識だった。農家は融資ロットが小さい割に債務償還期間が長く、融資のうま味が少ない。しかし、2009年の農地法改正で取引先からの農業参入の打診が急増し、各行は農業支援に力を入れ始める。京葉銀行はすでに八つの農業法人の設立を支援し、千葉興業銀行も昨年、支援第1号の法人が誕生した。

 異業種の参入支援の一方で、既存農家への支援も増えた。ただし「農家への融資は第一の目的ではない」(京葉銀行農業担当者)。狙いは取引先と農家のネットワーク構築だ。例えば農家が加工事業に進出すれば、新たに工場や設備、土地が必要になる。ここで取引先と結べば多くの資金需要が生まれる。商談会もネットワーク支援の一つ。「視野を広げれば農業支援には大きな可能性がある」(千葉銀行)。各行は海外ネットワークを活用した農産物の輸出支援も開始。千葉銀行は9月にモンゴルで邦銀初の食品商談会を開く。

 千葉の農業には課題も多い。千葉の強みは大消費地東京に隣接し、販売先に困らないことだ。しかし「他農家と連携しない『一匹おおかみ農家』が多く、農産物のブランド化では他県に遅れている」(業界関係者)。大手企業が次々と農業に参入し大量生産と低価格化が進めば、千葉農業の地位は揺らぐ。担い手不足や放射能の風評被害も追い打ちをかけ、農業関係者の危機感は強い。

 このため、既存の農業系金融も地銀の市場参入を歓迎する。日本政策金融公庫の小野峰宏千葉支店長は「地銀の支店網や幅広いサービスメニューは我々にない強み。お互いの強みと弱みを補完して千葉農業を盛り上げたい」とエールを送る。すでに地銀の農業人材育成を日本公庫で支援するなど連携を進めている。地域競争力の維持のためにも、地銀の農業支援は重要性を増している。


【2012年8月8日 日刊工業新聞社】