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関西リポート/チャンポン×工場見学−尼崎市でツアー人気

 工業集積地として知られる兵庫県尼崎市で、産業観光と代表的なB級グルメ「あんかけチャンポン」を組み合わせた地域振興の取り組みが活発化している。従来は尼崎商工会議所が中心となりそれぞれにPRしてきたが、2月に工場見学とチャンポンの食べ比べをセットにしたモニターツアーを初めて開催。70人の定員に3倍以上の219人が応募するなど反響を呼んだ。その後、1日のチャンポンの売り上げが半年前に比べ3―5倍になった店舗も出てくるなど成果を上げ始めている。(神戸・福浪暢)

 尼崎商工会議所と同青年部は、2月上旬の2日間で計四つのツアーを実施した。比較のため工場見学とセットのA、B、Cコースとチャンポンを食べるだけのDコースを用意。その結果、A、B、Cコースには平均61人の応募があったのに対し、Dコースは35人にとどまった。このことから、セットコースへのニーズがうかがえる。

 ツアー当日は計69人が参加し、鉄鋼二次製品メーカーの日亜鋼業の子会社、日亜物産が運営する植物工場などを見学した。事後アンケートでは94%が「またツアーに参加したい」と答える好評ぶり。尼崎商工会議所の小林史人産業部副部長は「普段見られない工場を見学でき、空腹のタイミングでチャンポンが食べられる点がうけた」と分析する。

 Dコース参加者の60%が「次回は工場見学とセットのコースに参加したい」と答えていることからも産業観光と食の相性の良さが分かる。尼崎のチャンポンは高度経済成長期に九州から移住した工場労働者により伝わり、あんかけ風にアレンジされたという。そのため産業とゆかりの深い食文化と言える。

 同会議所は今後、あんかけチャンポンの知名度向上に力を注ぐ方針で、今夏にはスタンプラリーの仕組みを導入する予定。今冬には第2回モニターツアーも実施する。そのほか、学校給食や市役所の食堂でチャンポンを提供してもらうべく尼崎市にも働きかけている。同市に4月に新設された都市魅力創造発信課とも連携の方針で一致しており、産業観光とともに市内外にPRを図る。

 目標は3年後をめどに、企業や店が自主的に産業観光とあんかけチャンポンを観光資源として活用できるようになること。そのための魅力ある観光コース開発が急務で、エリアを限定して内容を凝縮したコースを作ることなどを検討している。

 一方で尼崎市内には優れた技術を持っていても安全性や人不足の問題から産業観光を受け入れられない中小企業が多数存在する。こうした企業は高度経済成長期以降、地域の産業を支え続け、あんかけチャンポンと深いつながりを持つ。これら企業からいかに理解と協力を得るかが課題として残されている。


【2012年6月21日 日刊工業新聞社】