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変わる販売促進戦略/西日本高速道路サービスHD−食材で地域の魅力発信

 西日本各地の食材を活用し、旅行客増と地域貢献に―。西日本高速道路管内のサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)の商業施設の管理運営などを行う西日本高速道路サービス・ホールディングス。産地直送品などの通信販売、“ご当地”食材を用いた商品開発やメニューコンテスト、地元の人気商品を集めた店舗開発などに取り組む。

 少子高齢化や若者の車離れなどで、高速道路の利用客は減少傾向だ。柴田昭弘取締役は「このままではジリ貧。高速に乗ろうという動機づけ作りが重要」と指摘する。そこで選んだのが「食」だ。各地のご当地食材の魅力を伝えることで、その地域に立ち寄ったり、目的地に選んだりするきっかけを作ろうと考えた。各商品の売り上げ増や、旅行者を生むことでのSAの利用者の増加、地域活性化につなげる。

 2010年12月、西日本の名産品や産直品を集めた通信販売「こだわりの逸品」を始めた。コメや果物、魚など約100品を販売。少量生産品が多く売り上げ規模は小さいが、ある果物は注文が入ってから実をもぎ、生産者のメッセージ入りで送るなど、希少価値が高い品がそろう。

 社員が生産者の元へ直接足を運び、販売を交渉する。有名販売店の役員が頭を下げても「商業目的では売らない」と断った果実園も、地域貢献を兼ねた同社の目的ならばと快諾したという。「今後も生産者が愛情をもって育てる品を、一つでも多く掘り起こしたい」という。

 SA・PAの楽しみの一つの食事でも活性化策を練る。10年11月、テナントがご当地食材を使ったメニューを考案するコンテストを始めた。11年3月はハンバーガーメニューで実施。グランプリのご当地バーガーは決定後に販売数が3・2倍になり、週末は閉店前の完売が続く。同11月には丼ぶりメニューで行い、大阪城公園で開いた決定戦は約10万人が訪れた。

 「優勝テナントのパート主婦の方々が泣いて喜んでいた。普段は裏方の厨房(ちゅうぼう)の人がスポットライトを浴びることは少ない。テナントのモチベーションアップにつながった」と相乗効果もあった。

 SAなどで販売する土産物にもご当地食材を取り入れようと、09年に自社商品の開発を始めた。11年に誕生したかりんとうは各地の味9種をそろえ、パッケージで方言も紹介。12年4月には博多の老舗しょうゆ屋と協力し、博多・長崎ラーメンセットを発売した。

 他高速道路では例がない取り組みも行った。11年7―10月、全国展開はしていないものの、地元で愛される神戸の16ブランド約100品を集めた直営店を西宮名塩SAにオープン。多くの人が訪れ、売店全体の売り上げを数%押し上げた。

 11年6月に終了した通行料金の上限1000円と無料化実験など、交通量の変動に合わせて店舗の利用客も増減するため、売り上げの数値比較はできない。しかしさまざまな取り組みでご当地食材を知る機会が増え、地域の活性化につながっているようだ。今後は、例えば九州と関西でお互いのご当地品や名所を紹介し合うことで、創客を図る取り組みを検討中。詳細は未定だが「旅に行きたくなるような演出をしたい」という。(大阪・吉岡尚子)


【2012年5月18日 日刊工業新聞社】