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被災ストレス、不妊牛を救え−岩手大が畜産農家を支援

 岩手大学農学部附属寒冷フィールドサイエンス教育研究センターは、東日本大震災で被災した三陸沿岸の畜産農家の問題だった、雌牛の不妊治療に取り組む。内陸部にある附属牧場で不妊状態の雌牛を預かり、バイオテクノロジーで受胎させ、再び農家に戻すというもの。妊娠を効率化させるため超早期妊娠診断技術開発にも乗り出している。被災地畜産農家の復興に向けバイオテノロクノジー関連企業や農業機械メーカーなどにも協力を求めたい考えだ。

 岩手県は全国7位の畜産県。年間出荷高約200億円規模だが、業界は、東日本大震災によるストレスや一時的な餌不足によって雌牛が妊娠できない繁殖障害の問題に直面していた。その解決に向け今月から同センターは岩手県宮古市の7軒の畜産農家から不妊状態の黒毛和牛を受け入れた。

 同センターの持つ技術は牛胚体外生産技術。畜産農家に雌牛とともに精子を附属牧場の御明神牧場(岩手県雫石町)に運び込んでもらう。同牧場に預託された雌牛から生体内回収した卵子を、ラボで精子と体外受精させ牛胚を生産。これを雌牛に移植し、受胎させると優良な子牛が得られるという。預かり期間は約2カ月で、受胎させ農家に返す。 計画では初年度10頭の不妊治療に取り組む。3―4年で50頭を治療する。優良な子牛を得られるため、畜産農家の高収益化にもつながるという。

 こうした取り組みに加え、不妊治療を効率化するため超早期妊娠診断技術開発にも取り組む。妊娠の際に発現する遺伝子をターゲットにした技術で、これまで40日ほどかかっていた妊娠診断が14日程度で済むという。体外受精技術と組み合わせると、さらに効率的な不妊治療ができる。

 まだ研究の段階だが、実用化に向けバイオ関連企業に協力を呼び掛けたい考えだ。平田統一助教は「研究活動の一環で考えついた支援策だが、岩手の畜産農家を積極的に応援したい」と話す。


【2012年5月9日 日刊工業新聞社】