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世界観光サミット閉幕−訪日外国人増加へ交通の規制緩和を

 16日から仙台と東京で開催していた世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)グローバルサミットが19日、閉会した。西田厚聰日本組織委員会委員長(東芝会長)は都内で開かれた閉会式で、「スピーカーとパネリストの知見やビジョンが我々の視点を大きく広げてくれた」と振り返った。

 4日間で世界の旅行関係者が観光が抱えるさまざまな問題について話し合った。次回のグローバルサミットは2013年4月にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開催。引き継ぎの証としてWTTCのデビッド・スコーシル最高経営責任者(CEO)がアブダビのジェームス・ホーガンエティハド航空CEOに地球儀を手渡した。

 閉会後には実行委員会委員長を務めた田川博己JTB社長が記者会見を開き、サミットでも話題になった日本へのインバウンド(訪日外国人)の増加策について「日本は島国なので飛行機か船でなければ外国から来られない。(飛行機、客船関連の)規制緩和がまだまだ必要」との認識を示した。

 また、「日本の地域の商品化をしっかりしていくことが、インバウンドを増やすひとつの条件」とし、旅行会社として地域の商品づくりに注力していく姿勢を示した。

【「観光地でEV」−張トヨタ会長が講演】

 張富士夫トヨタ自動車会長は19日、東京都内で開いていた世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)グローバルサミットで「トヨタが目指すこれからのクルマづくり」をテーマに講演した(写真)。環境や安全に配慮した未来の車づくりを紹介。これら次世代自動車の観光での使い道のアイデアも披露した。

 講演に先立ち、同社が開発中の立ち乗り型の移動支援ロボット「ウィングレット」などのデモ走行を披露。持ち運べるウィングレットには「観光地やテーマパークに持って行くなどさまざまな可能性が広がっている」と観光での利用にも期待を示した。

 電気自動車(EV)については「観光地のある一定のエリアを環境に優しいEVで走るという使用方法も考えられる」と観光地の移動手段としての活用方法を提案。また、グループの日野自動車が燃料電池バスの実証実験を進めていることを挙げ、「観光バスにも活用できると考えている」と述べた。

【解説】

 わが国初の開催となったWTTCグローバルサミットが閉幕した。復興へのつち音が聞こえ始めた日本の姿を、世界に発信する機会を得た意義は大きい。今回の会議を、オールジャパンでの「観光立国」づくりの契機にしたい。

 大震災と観光復興が主要テーマになった同会議。被災地・仙台と東京の2カ所での開催は効果的だったといえる。今回で12回目を迎えた同サミットだが、1都市での開催が一般的。しかし、「被災地の現状を知ってほしい」とする日本側の意向が強く、WTTC本部を口説き落として異例の2都市での開催にこぎ着けた。日本の現実を世界に伝える―。正確な情報発信が「風評」を抑える唯一の手段である。

 ITを駆使した初の会合という側面もある。組織委員会トップは東芝の西田厚聰会長。東芝の協力を得て、参加者にタブレットPCを配布。参加者間、そして講演者らとの“対話”を実現したほか、日本の観光地情報を詰め込むなど、訪日観光客の増加に目配せした。また、「Suica(スイカ)」を参加者のIDカードに組み込むなど、わが国の高い技術を随所にアピール。日本らしさを見事に“演出”した。

 人口減少社会に突入したわが国にとって、成長戦略の柱が観光だ。今後は国がどこまで観光立国づくりに本腰を入れるか。アジアを中心とした新興国に「日本を売り込む」―。観光は隠れた“輸出産業”である。


【2012年4月20日 日刊工業新聞社】