HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

ヒット商品の舞台裏/天高く−土産用ラーメン

 【社長・栗原清さん】

 2011年11月に開催された「東京ラーメンショー2011」で、期間中に1万4585杯を販売し、売り上げ首位の3連覇を達成したラーメン店が富山県にある。天高く(富山県射水市)が展開する「麺家いろは」だ。

 このラーメン店で提供するのは、濃いしょうゆベースのスープを使用した富山のご当地ラーメン「富山ブラックラーメン」だ。全国的に認知度が高まってきており、05年に発売した土産用商品「富山黒醤油ラーメン」と「富山白エビラーメン」はそれぞれ2食入り600円で、こちらの販売も好調という。

 栗原清社長は約10年前から地元の素材を使ったラーメンの開発に取り組んできた。そうした中、東京都千代田区のJR有楽町駅前にある富山県のアンテナショップに置く土産用ラーメン製作を県関係者から打診された。

 富山県立大学で研究する富山湾の海洋深層水や、県の特産品であるシロエビの殻で取っただしを使用する。しょうゆも自社で開発したものを使っている。

 黒醤油ラーメンはスープの色から塩辛いイメージがある。しかし、実際は「あっさり味」ながら「深いコク」があるという。この秘密はスープに使うしょうゆにある。うまみ成分を多く含み、塩分を控えめにした魚醤(ぎょしょう)を使っている。

 また白エビラーメンはシロエビの殻を使い、芳しい風味と磯のかおりを引き出した。栗原社長は「毎日食べても飽きない、自分が食べておいしい」ことを重視して、ラーメンづくりをしている。

 しかし、発売当初は包装材など資材費が利益を圧迫。「大量の資材を抱えて大赤字になり、発売から2―3カ月でギブアップしそうになった」。業績が順調だったラーメン店の利益を土産用ラーメンの事業につぎ込む日々が続いた。

 「とにかく富山ラーメンで地域おこしをしたい」という一念で事業を継続。これまで販売を担当していた物販部に加えて06年にはイベント部を立ち上げた。全国各地の百貨店、物産展やイベントに積極的に参加した。

 こうした活動を通じて富山ブラックラーメンの知名度は徐々にあがり、通信販売の反応も良くなった。07年には富山駅や富山空港での販売を開始。観光客も手軽に購入できるようになった。10年には5000万円を超える売り上げを記録した。今や「ブラック」と名の付く食べ物はラーメン以外にも多い。栗原社長は「ブラックと名の付く食べ物は大歓迎。皆で盛り上げていきたい」と相乗効果を期待する。

 現在は5月投入に向けて、発売以来初めての改良に取り組んでいる。パッケージデザインのリニューアルだけでなく中身も店で出しているラーメンに近づける。

 またラーメン店で提供している麺、チャーシューやスープの冷凍セットも発売した。ブラックラーメンは富山県以外でも多くの企業が販売している。後発組に抜かされないよう、常に先頭を走り続ける意気込みだ。(富山支局長・渡辺大介)


【2012年3月30日 日刊工業新聞社】