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観光復興(下)福島県・会津若松−修学旅行生誘致カギ

 福島県会津若松市では観光シンボルの鶴ケ城天守閣の入場者数が2011年9月から前年同期比プラスに転じている。ただ、10年は天守閣屋根の赤瓦へのふき替え工事の影響で入場者数が少なかったため、「平年並みには届いていない」と市の観光課の担当者は話す。また、市内の東山温泉への入り込み数も昨年11月以降は前年同期比プラスとなっている。 会津若松市や会津若松観光物産協会などで組織する「会津若松市教育旅行プロジェクト協議会」は、昨年11月から今年1月にかけ、宮城県内の小学校の9割超の415校を訪ね、会津の放射線量や、市民が全く普通に暮らしている現状などを説明するとともに、12年度の修学旅行の行き先調査を実施した。その結果、99校が会津を旅行先として考え、選択肢の一つとする学校が72校あることも分かった。

 「今回の訪問で、かなり会津のことを理解してもらうことができたのではないか」と観光物産協会の渋谷民男統括本部長は語る。12年度の県外からの来訪校数については「厳しいかもしれないが目標200校」と意気込む。それでも震災前の3割にも満たない。

 観光客の回復の兆しについて、市は観光物産協会が旅行エージェントに助成金を支給する事業や、福島県が県内の子供向けに、県内で自然環境体験や歴史文化体験をする際の宿泊費などを補助する事業が奏功していると考えている。実際に、県外から会津若松に来る児童生徒数が激減したのとは対照的に、昨年の県内からの児童生徒数は前年の2倍。 加えて、13年1月からはNHK大河ドラマで同志社大学の創立者である新島襄の妻で、会津藩出身の新島八重を主人公に描く「八重の桜」が放映される。「会津の観光にとって、極めて強力な追い風」(市観光課)だ。大河ドラマの観光への絶大な影響力は、09年の直江兼続主人公の「天地人」で経験済み。12年度はドラマで使われる衣装や小道具などを展示する施設「ドラマ館」の整備を進めていく。

 日光、会津若松の両市は、もともと国内有数の観光地で、観光客をひき付けられる十分な施設と歴史背景という資源に富む。それだけに、春の観光シーズンを控え、風評被害をはね返そうと、両地区では誘客に一層知恵を絞っていく。

【名所でも生徒減】
 会津若松市は東京電力福島第一原子力発電所から100キロメートル。会津若松市も同0.1マイクロシーベルト(マイクロは100万分の1)以下。安全であることを何度も訴えている。鶴ケ城を筆頭に、白虎隊の自刃の場としても知られる飯盛山、会津藩校日新館など歴史的な名所旧跡が数多くあり、例年300万人超の観光客が訪れる。特に事故前の10年度に県外から同市を訪れた学校数は841校だったのに対し、11年度は約9割減の100校。中でも痛手だったのが、隣県宮城県からの大幅減少で、同県からは10年度は都道府県別で最多の358校が訪れたが、11年度は59校にとどまった。


【2012年3月23日 日刊工業新聞社】