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岩手県漁業の再生へ民間アイデア続々−農水省の先端技術展開事業

 東日本大震災で壊滅的被害を受けた岩手県漁業の再生に向けた先端技術展開事業で、ヤンマーやゼファーなどの民間企業が独自アイデアを披露している。ヤンマーはギンザケ養殖業集約化や、カキやアサリなど二枚貝の高効率増養殖システムを提案。ゼファーは風力発電に通信機器を組み合わせた小型システムの、洋上生産拠点オペレーション活用を提案した。ミツイワ(東京都渋谷区)も漁村のスマートコミュニティー化を提案。得意技術を漁村復興やビジネスチャンスにうまくつなげられるか、企業側の関心は高まっている。

 先端技術展開事業は農林水産省の2012年度事業で、岩手県内に漁業・漁村型の研究・実証地区を設け、新技術の活用により生産コストの5割削減か収益率2倍化を目指す。ヤンマーの提案したギンザケ養殖業集約化は遠隔監視装置、給餌システム、養殖網洗浄などの機械を大規模化すると同時にコンピューター制御による集中管理を導入、同品質・大規模ロットのサケの市場投入で競争力を高める。

 カキ養殖は全工程の飼育水を精密濾過処理するとともに微細藻飼料を自社工場生産することで低コスト量産技術を確立。殻高20ミリ―30ミリメートルの形の整った大型種苗をかご養殖することで、高効率養殖が可能になるとしている。

 風力発電機器を手がけるゼファーの提案は小型風車を電源にしたフロートをイケス付近や洋上の定点観測用に配置し、水質・水温やえさの浮遊状況などを通信機から送信し、効率化を目指す。ミツイワも太陽光発電、小水力発電、小型風力発電に充電設備や水産加工場を組み合わせた漁村のスマートコミュニティー化を提唱している。

 農水省はこれらの提案を参考に事業者を2月中旬に公募開始、4月中旬に決定したい計画だ。

 ■食料生産地域再生のための先端技術展開事業■
◇政策目標
・先端技術を用いた被災地の農林水産業の復興
・技術革新を通じた成長力のある新たな農林水産業の育成
・生産コストの5割削減(または収益率の2倍化)
◇主な内容
・大規模実証研究
被災地域内の「農業・農村型」「漁業・漁村型」の研究・実証地区で生産・加工に係る先端技術を組み合わせ最適化するための大規模実証研究を実施
・技術・経営診断技術開発研究
研究・実証地区の実証研究で導入された個々の技術を体系化し、導入する際の経営体単位の効果を分析


【2012年1月26日 日刊工業新聞社】