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農商工連携の今(98)山口県産ユズのジャム商品化−熟した黄化果実を有効利用

 たけなか(山口県萩市、竹中一男社長、0838-26-0066)は、JA長門大津(同長門市)と共同で、県北西部で栽培される柑橘(かんきつ)類「長門ゆずきち」を使ったジャムなどの製品化に取り組んでいる。長門ゆずきちはユズの一種で種がほとんどなく、果汁が多いなどの特性を活かし、廃棄されていた資源の有効活用を図っている。

 個人事業者として夏ミカン栽培を手がけるうち、約20年前に夏ミカンの付加価値を高めようと加工製品の生産を始めた。1995年に法人化し、冷蔵倉庫や加工工場などを拡充した。

 現在、夏ミカンのジャムやゼリーを首都圏などの高級スーパーで販売するほか、全国にインターネット通販の顧客を持つ。夏ミカン栽培は「他の事業者から夏ミカン畑の管理や収穫を依頼されることが多くなった」(竹中社長)という。

 夏ミカンに次ぐ農産物として着目したのが長門ゆずきちだ。萩市や隣接する長門市などで栽培されてきた山口県固有の香酸(こうさん)柑橘類の一種。香酸柑橘類ではスダチやユズが有名だが、外見は「大分県特産のカボスに非常に似ている」という。

 香酸柑橘類は果実が青い時の商品価値が高く、長門ゆずきちは熟して黄化(おうか)すると廃棄されていた。だが同社は皮が柔らかく、種が少ない特性に着目、09年に黄化した果実を原料にした加工製品の研究に着手した。

 山口県中小企業団体中央会(山口市)に、原料の仕入れ先としてJA長門大津の生産部会「長門ゆずきちの会」を紹介された。廃棄している果実の有効活用につながるだけでなく、青い状態の果実と熟した果実は収穫時期が異なるため、生産者にとって「作業時期を分散できる」というメリットが生まれる。

 JA長門大津は原料供給面で協力することを決定。安定供給に向けて山口県長門農林事務所(長門市)が栽培指導することになった。

 たけなかは10年にジャム、ジュースなどを製品化した。販売目標は15年に年間売上高約2000万円。今のところは「まだ少しずつ売れ始めた状況」だという。長門ゆずきちの知名度がまだ低いため、当面はその存在を知ってもらうことが仕事になる。


【2012年1月16日 日刊工業新聞社】