HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

インタビュー/野村アグリプランニング&アドバイザリー社長・西沢隆氏

 東日本大震災の傷が癒えない中、政府の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加方針表明に揺れる日本農業。金融界では異色の農業支援を手掛ける野村アグリプランニング&アドバイザリーの西沢隆社長に、農業の課題や振興策を聞いた。

 ―なぜ野村グループで農業か。

 日本経済の再生には地域活性化が必要だ。地方に過去ほどの資金需要はなく、資金需要がなければ金融事業はおぼつかない。地域から逃げない農業を将来の需要の起爆剤にしたいという発想だ。

 ―国内農業の課題は。

 農業を産業化し、付加価値を拡大し、雇用を拡大できる産業にしないといけない。国内総生産(GDP)に占める農業、漁業など第一次産業の割合は小さいが、「食品産業」と見れば80兆―100兆円の規模がある。農業は産業化が進んでいない分、新たな雇用を生む伸びしろがある。

 第一次産業の強化はTPPに関係なく進めるべき政策だ。今の財政状況ではもう補助金を湯水のように出せない。農業を、税金を得られる産業に育てるべきだ。

 ―野村が考える日本農業の将来像は。

 都市近郊型、中山間地型、特産品型の三つがある。都市近郊では安心、安全な農産品を安定的に供給する。当社は千葉県で農業生産法人を共同出資で立ち上げ、ノウハウを蓄積している。中山間地では、「那須疎水」のある栃木県で農業用水路を使った小規模水力発電に関わった。また里山や棚田など自然資源も観光に生かせる。

 ―特産品の輸出は。

 この会社で最初に考えたのは輸出だ。中国では「安心、安全、おいしい」と日本食のニーズは高かったが、東日本大震災による原発事故の影響が大きかった。信頼回復は包み隠さず情報を伝えるのが最初の一歩で、最大の一歩だ。中国本土はまだ厳しいが、香港では悪化した日本食品への印象が変わり始めている。


【2012年1月5日 日刊工業新聞社】