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農商工連携の今(97)岐阜県産米で米粉商品

 桜井食品(岐阜県美濃加茂市、桜井芳明社長、0574-54-2251)は、岐阜県産のコメの粉でホットケーキミックスを開発し、2009年から生協や、自然食品を扱う首都圏のスーパーなどで販売している。10年にはコメ粉を使った天ぷら粉やお好み焼き粉、プリンミックスも開発。4商品の売上高は11年8月期に年間2200万円と、順調に伸びている。

 コメ粉商品開発のきっかけは、小麦アレルギーだ。30年以上前からうどんやそば、インスタントラーメンなどを欧米などに輸出しており、ここ数年、そば粉100%の「十割そば」の需要が海外で増えていた。納品先に話を聞くと、小麦を主食とする欧米では小麦アレルギー患者の割合が日本より高く、小麦アレルギーに悩む人が主に購入しているという。すぐに欧米向けに小麦を使わない商品の開発を思い立った。

 頭に浮かんだのが、原料を置き換えるだけで製品化できるホットケーキミックス。雑穀の使用も検討したが、「コメなら手軽に調達できる」(桜井社長)。早速、岐阜県関市で減農薬・減化学肥料栽培に取り組む知り合いの片岡篤夫さんに相談。欠けなどで出荷できなかった規格外米8トンを買い取り、試作に入った。

 コメを小麦と同様に製粉してホットケーキを焼くと、食感がべっとりとしておいしくなかった。4カ月間試作と試食を繰り返した結果、粉の粒子を小麦粉の半分まで細かくするとふっくら仕上がることがわかった。熱に弱いコメ粉用に特注の製粉機を導入し、着想から半年で商品を完成した。

 価格は200グラムで280円。小麦製品に比べて3―5割高い分、安全・安心を訴える工夫をしている。包装にはコメの生産者情報などを提供する自社サイトへ誘導するQRコードを印刷している。

 2年目以降は田植え前に片岡さんとその年の購入量を契約している。コメ以外の穀物の代替として使う新規需要米として、作付け前に農政局に申請すると補助金が出るためだ。買い手も買い取り価格もあらかじめ決まっており、片岡さんはコメ作りに専念できる。

 調達量は年々増え、12年は初年度の10倍の80トンを計画。新たなコメ粉商品として米麺を開発中だ。輸入品に比べ割高になるが、安心・安全な原料を全面に出す戦略で、「コメ粉商品で1億円の売り上げを目指す」と桜井社長は意気込む。

 当初狙った海外販売は、超円高で保留状態だ。だが米国の食品展示会ではコメ粉商品は好評で、まずは米国の食品アレルギー患者向け食品通販サイトへの販売を模索している。


【2011年12月19日 日刊工業新聞社】