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蔵元が農業法人設立−飯沼本家“原点回帰”

 飯沼本家(千葉県酒々井町、飯沼喜市郎社長、043-496-1111)は農業分野に参入した。県内の蔵元では初めて農業法人を設立した。酒米を生産し、自社で手がける日本酒やリキュールの製造に用いる。若者の日本酒離れやライフスタイルの変化を背景に蔵元の経営環境は厳しさを増している。コメへの“原点回帰”と事業の多角化で、経営基盤の強化を急ぐ。

 酒々井町に農業法人「きのえね農園」を設立した。すでに飯沼社長が保有する土地2000平方メートルで日本酒約200リットル相当の酒米を収穫済みで、来年は1000―1500平方メートルの土地を新たに借りて作付けする予定。酒々井町には多くの不耕作地や耕作放棄地が存在する。これらの土地を取得したり借りたりすることで作付面積を広げる。

 「将来的には自社で使う酒米の全量をまかなうのが理想」と飯沼社長。減・無農薬で生産した酒米を使うことで消費者に安全・安心を訴求するほか、耕作を通じて地元の里地や里山を保全する狙いもある。

 リキュールは千葉県産業振興センターの「ちば農商工連携事業支援基金」を活用し、鴨川市の地域振興団体「鴨川市農林業体験交流協会」と共同開発する。同協会から夏みかんやゆず、ダイダイなどの供給を受け、日本酒由来のユニークなリキュールを来夏にも発売する。来年以降は観光農園や飲食店も展開も視野に入れている。

 同社は「甲子(きのえね)正宗」の銘柄で知られる県内蔵元大手。2011年9月期の酒造部門の売上高が07年9月期に比べて26%減少するなど本業の縮小に歯止めがかからない状況だ。

 飯沼社長は「酒造りは稲作と一体で地域に伝承されてきた。原点に回帰し、地元を活性化したい」としている。(千葉)


【2011年12月2日 日刊工業新聞社】