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首都圏リポート/いちご王国・栃木で新ブランド−15年ぶり主力品種誕生

 イチゴの産地栃木県で、次世代の高級イチゴ「栃木i27号」が誕生した。現在の主力ブランド「とちおとめ」より大粒で収穫量も多いのが特徴だ。「とちおとめ」以来、15年ぶりの主力品種の誕生となる。市場に流通するのは3年後になる見通しだが、ポスト「とちおとめ」には新たな栃木ブランドとしての役割が期待される。(栃木・杉浦武士)

 「県産イチゴの新たな需要を創出し、『いちご王国』のさらなる発展を図っていきたい」。福田富一県知事がこう期待するように、イチゴの生産量で日本一の栃木県にとって、新品種は待望の登場となった。

 「とちおとめ」は1996年に品種登録して以来、11月21日に15年を迎え、育成者権が切れた。今後は誰もが「とちおとめ」を栽培できるため、新品種の開発が課題となっていた。また、福岡県の「博多あまおう」や佐賀県の「さがほのか」など、全国の自治体がイチゴの新品種を開発し、イチゴをめぐる開発競争が激化していることも、産地継続への大きな危機感につながっている。

 「栃木i27号」は「栃の峰」と「女峰」を交配し、いちご研究所(栃木市)で開発された。大粒の実は平均26グラムと、「とちおとめ」の同15グラムより大きく、爽やかな甘さが味わえる。「とちおとめ」の課題だった、炭疽(たんそ)病などの病気にも強い。

 県によると、11月15日に農林水産省に品種登録を申請し、登録には約3年かかるという。また今後2年間は農家や農業団体の協力を得ながら新品種の最適な栽培技術を研究し、14年11月には市場に流通させる計画だ。

 現在の「とちおとめ」は育成者権を取得したものの、県内のみの栽培という囲い込みはせず、他県での栽培も許可してきた。現在、茨城県など10以上の都道府県で「とちおとめ」が栽培されたことで、知名度向上につながった。ただ、商標登録はしていない。あえて、登録しなかったことで知名度は浸透した一方で、「知的財産権の管理が甘かったのでは」という指摘も受けた。

 「栃木i27号」の販売・流通戦略については県も慎重だ。福田知事は「まず県内で普及させた上で、栽培許諾を他県に認めるかを今後判断していきたい」とする。商標については、一般公募で12月1日から名称を募集し、12年11月には正式に決定する見込みだ。

 また、国内のイチゴの消費量が減少傾向にあるため、価格をどう設定していくのかも課題。「産地としての優位性も考え、贈答用として高級な価格帯を検討している」と県の吉沢崇農政部長は説明する。

 ポスト「とちおとめ」となる新品種。市場への流通までの約3年間、新しい栃木ブランドとしてどう展開していくのか。その戦略の構築が県には求められる。


【2011年11月30日 日刊工業新聞社】