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農商工連携の今(93)黒ナマコで化粧品開発−ヘア・スキンケア商品狙う

 大村湾水産加工品販売(福岡市中央区、矢野浩作社長、092-735-6638)は、長崎県大村湾の特産品「黒ナマコ」を使った化粧品開発に取り組む。2008年10月に開発した「黒なまこの石けん」の売り上げ好調に続き、スキンケアやヘアケア製品を商品化してヒットを狙う。

 同社は黒ナマコせっけんを販売するため、大村湾漁業協同組合(JF大村湾、長崎県時津町)などが出資し09年に設立した。11年7月期の売上高は1億3000万円。せっけん拡販と新商品投入で、12年7月期に売上高倍増を見込む。

 黒ナマコは生で食される赤ナマコや青ナマコと異なり、国内では商品価値は高くない。だが乾燥させた製品は中国で「黒いダイヤ」と称される高級食材だ。大村湾では江戸時代から漁を行い、輸出してきた。

 JF大村湾が黒ナマコを使った製品開発に着手したのは、廃棄品の有効利用にあった。乾燥のためナマコを割き、内臓などを取り除くが、加工時に規格外品が発生する。廃棄コストもかかるため、製品開発で新たな収益源とする狙いだった。

 化粧品にたどりついたきっかけは「加工作業をする女性の手が、冬場にかかわらず荒れていなかった」(大村湾水産加工品販売の大口誠二カスタマーサービス室長)こと。ナマコはコラーゲンを多く含み、漢方薬として皮膚病に効果があることが知られていた。長崎大学薬学部で成分分析したところ、皮膚の保湿機能改善や細菌の進入防止機能を持つ、セラミドやサポニンを多く含むことがわかった。

 現在使用している成分は無色透明で無味無臭だが、当初は悪臭を放ち、製品化への壁は高かった。そこで化粧品のOEM(相手先ブランド)製造を手がけるサティス製薬(埼玉県吉川市)に依頼して、製品化にこぎつけた。同社は連携参加者として新製品開発にも携わる。

 今後、スキンケア、ヘアケア製品の商品化を急ぐ。せっけんは通信販売や東京、大阪の百貨店で行う物産展で、40―60代女性を中心にファンをつかんでいる。新製品では男性にも顧客層を広げて収益拡大を図る。

 ナマコには海水の浄化作用があり、環境面でも地域に貢献する生物だ。そのため連携事業のスキームでは、収益の2%を黒ナマコ保護に還元する。重要な地域資源を保護育成しながら、地域へ利益還元するサイクルの構築にも力を注ぐ。


【2011年11月7日 日刊工業新聞社】