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農商工連携の今(91)佐渡の認証米で日本酒−顧客の注文きめ細かく対応

 国の特別天然記念物、トキの自然放鳥が2008年に始まった新潟県佐渡市。北雪酒造(佐渡市、羽豆史郎社長、0259-87-3105)は同市の「朱鷺(とき)と暮らす郷づくり」認証米を使ったフルオーダーの日本酒づくりをスタートさせている。

 日本酒市場が低迷する中、北雪酒造では安全・安心など特徴のある日本酒づくりをしたいと考えていた。そんな時に知ったのが佐渡市の認証米制度だった。同制度は、安全でおいしい佐渡産米を認証するもので、農薬や化学肥料を減らし、トキの餌となる生き物を育む農法で栽培されたコメを対象としている。

 食の安全・安心への関心が高いなか、認証米で酒づくりができれば大きな付加価値が生まれると同社では考えた。そこで、地元農家と組んで農商工連携事業に取り組むことにした。

 酒をつくるには、安定した数量の認証米を確保することが欠かせない。だが、減農薬で高品質の酒米づくりは農家にとって手間がかかる。今回の事業を進めるため、農家へと説得に回り、理解を求めた。

 フルオーダーの酒づくりもこの事業の目的の一つ。フルオーダーとは、吟醸、本醸造などの種類や、ラベルのデザイン、納品する時期などを顧客が指定できるようにすることだ。この仕組みも、「日本酒業界が厳しい中、消費者に喜ばれることをしなければいけない」(中川康夫取締役管理部部長)との思いから発案したものだ。

 他の酒米と混じらないよう認証米専用の精米機を導入。また、小ロットの醸造を可能にする小型ガラスタンクや、顧客が希望する時期に出荷できるようマイナス10度Cまで冷やせる冷蔵庫も整備した。

 現在、720ミリリットル詰めで最低400本からの注文を受け付けている。第1弾として、今年8月に酒問屋向けに商品の提供を始めた。今後は企業の創業記念品や飲食店からの受注も狙っていく。また、オーガニック志向の強い海外市場でも需要が見込めることから、海外のレストランにも積極的に訴求している。

 佐渡という離島に本社を置いているだけに、物流のコスト、時間などのハンディーは大きい。だが、佐渡産が魅力の一つになるのも事実。「これからもできるだけ佐渡の原料を使いながら商品を作り、離島のハンディーを乗り越えたい」と中川取締役は語る。


【2011年10月24日 日刊工業新聞社】