HOME > 事業を広げる > 地域資源活用チャンネル

地域資源活用チャンネル

ニュース

首都圏リポート/群馬・栃木で自転車レース活況−市街地活性化・物産PRに一役

 群馬、栃木両県の県庁所在地が国際大会や大規模な自転車レースで活況を呈している。前橋市は9月にヒルクライムレースを初めて開催。宇都宮市では毎年秋に開催される国際自転車レースの期間が従来の2日間から3日間に拡大された。スポーツ自転車は健康志向などを追い風に年々関心が高まっており、両市の市街地の活性化にも一役買っている。(群馬・平岡乾、栃木・杉浦武士)

 主にロードバイクと呼ばれるスポーツ自転車は初心者でも時速30キロメートル超と街乗り自転車では味わえない速度で走れ、ランニングよりも身体への負担が小さく有酸素運動の入門としても適している。

 県道を登って赤城山の峠(標高約1436メートル)を目指す前橋市の「まえばし赤城山ヒルクライム大会」は初回にもかかわらず、定員2500人に対して3400人の申し込みがあった。1300メートルの標高差に中盤以降の急勾配は全国でも屈指の厳しさを誇る。首都圏から会場へのアクセスが良く、また市街地からスタートするために沿道から応援を受けられるなどの特徴も好評だった。前橋市商工観光部は「5年後をめどに国内で最大級となる参加者5000人規模にまで拡大したい」と意気込む。

 宇都宮市で毎年10月下旬に開催される「ジャパンカップ」は海外の一流選手も参加する国内レースの最高峰。厳しいアップダウンが待ち受けるこのレースでは真の実力者しか優勝争いに加われないためか、過去の入賞選手が後にツールドフランスなどメジャーなレースで総合優勝するという例が少なくない。初開催の1992年の観客は4万人だったが、10年は同7万人に伸びた。

 10年に市街地を周回する「クリテリウムレース」が加わり、11年は期間を2日間から3日間に拡大する。また08年にプロレースチーム「宇都宮ブリッツェン」が発足した。宇都宮市は10年12月に自転車の推進計画を策定するなど、「ギョーザの街」は「自転車のまち」の地位確立も狙っている。

 両市とも中心市街地の空洞化に苦しむ点で共通する。前橋市はオフィスの空室率3割超が続き、路線価は全国最下位。宇都宮市は前橋市より状況は良いものの、一部の商業地区で7―8%の地価下落率が続く。東京都心部と郊外の大型商業施設の双方に顧客が流れ続けるという構造的な不況から抜け出すための有効打を見いだせない。

 一方、自然に恵まれ交通規制もしやすい両市は自転車レースの開催に適しており、首都圏の都市部とも差別化できる。スポーツ自転車はニッチ分野とされるが、赤城山ヒルクライム大会では参加者の友人や家族を含めた計1万2000人が訪れ、大会前日の市街地のホテルは宿泊客でほぼ満室状態となった。宇都宮市では昨年のレースの経済効果は6億円と試算した。

 ただこれらのイベントは年一度の開催。経済効果を上げるため自転車レースを手始めに安定的に観光客を呼び込む仕掛けも必要となる。赤城山クライムレースでは選手受け付け会場に地域物産である豚肉料理店が出店し、参加者には飲食店の割引券も配布した。今後は観光物産の広告役としての期待も高まる。


【2011年10月21日 日刊工業新聞社】