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農商工連携の今(90)完熟野菜を天日乾燥−旨み凝縮、付加価値高める

 お日様のにおいがするかどうかが味の決め手―。食品乾燥といえば機械乾燥と、天日による自然乾燥の二つの方法がある。どちらを選択するかで、風味に大きな違いが生まれてしまう。まるつね(栃木県壬生町、戸崎泰秀社長、0282‐82‐0224)がこだわるのは完熟野菜の天日乾燥。農商工連携による高付加価値品のノウハウとなる。

 同社が取り組むのは規格外のトマトやイチゴなどを使った高付加価値食材の開発。地元農家などから仕入れた農産物を天日乾燥し、中華料理店などの食材として提供する事業で、2010年に関東経済産業局から農商工連携計画の認定を受けた。

 天日乾燥は野菜が紫外線を浴びつつ、風にあおられながらゆっくりと水分が奪われていく。この過程で野菜の細胞がストレスを感じ、耐性物資としてアミノ酸などの成分を分泌する。これが人間にとってうま味となり、味が凝縮されていく。機械乾燥ではこの過程がないため、味に大きな差が生じる。「だからお日様のにおいがするかどうかが大切になる」(戸崎社長)。

 同社は天日乾燥を施した完熟野菜の加工を長年手がけてきた。その日の湿度など天候状況を加味した微妙な調整のほか、風が通りやすくなる専用施設の開発など多くのノウハウを蓄積してきた。

 栃木県は日照時間が全国トップクラスであり、加えて日光連山を突き抜けた空っ風が周囲の湿気を奪いながら太平洋に突き抜けていく。こうした乾燥に適した気候環境も追い風となっている。

 農商工連携の第1弾では、地元の農業法人から仕入れたイモを乾燥させた干しイモ「栃木県産ほしいも」を09年に発売した。価格は150グラム入り400円で、東京の食品スーパーや通販で販売。現在では年間売り上げ2000万円の事業規模に育っている。

 農商工連携の目標売上高は15年までに年間5000万円。今後はイモを使った新商品などを計画。埼玉県の食品加工業者と連携し、スイートポテトなどの菓子生産を検討している。

 品質の向上にも取り組む。干しイモは乾燥しすぎると硬くなり、また甘くしすぎるとカビが生えやすくなる。この微妙なバランスをとりながら、「甘くてねっとりとした味を作りたい」と戸崎社長は強調する。その先には「打倒、茨城県産干しイモ」という大きな目標を掲げている。


【2011年10月17日 日刊工業新聞社】