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農商工連携の今(89)川根産ユズ皮を有効活用−しょうゆメーカー「商」で参画

 江の川を隔てて島根県と接する広島県安芸高田市川根地区は、古くから町おこしに取り組んできた。ユズを地域の特産品にするため、「川根柚子振興協議会」を結成、栽培だけでなくユズ酢やユズみそなどの商品を開発してきた。知名度が上がり集荷量が増えると問題になるのが大量に発生する皮の処理。ユズは皮が厚く、搾汁率は15%から20%程度にとどまる。皮は廃棄物として処理していた。同協議会は2013年には集荷量が100トンに達すると見ており、それに比例して廃棄量も増加し、実に80トンにも及ぶ。

 廃棄していた皮などを何とか有効活用できないか、と持ちかけたのが川中醤油(広島市安佐南区、082-848-0008)の川中敬三社長。川中社長と同協議会とは20年近くのつき合いがあった。また川中醤油はだししょうゆが主力商品。かつお節でだしを取る際、一番だしをとったら廃棄しており、何か有効活用できないかと考えていた。両者の思惑が一致し、食品加工会社の山豊(広島市安佐南区)を交えて連携体を組織。10年2月に農商工連携支援事業に認定された。

 共同開発の第1弾は、「柚子とかつお つくだ煮」。同年12月に完成し川中醤油の直販店などで売り出した。さらに翌11年3月にはつくだ煮のパッケージを一新し、新たに「柚子香るすしの素」「柚子と大根のお漬物」2種と併せて4品種を発売した。いずれも価格は500円と安価に設定し通販や土産物店などで本格販売した。加工は製品に応じて協議会や山豊などに委託する。

 苦労したのは「かつお節が少し堅いので、いかに柔らかくするか」と西江美華川中醤油品質管理室・開発室農商工連携担当。そこで加工の前段階で、これも廃棄されていたユズの上澄み液などを使って食感を向上させた。また「ユズとカツオのバランスにも配慮」することで完成させた。

 この連携で特徴的なのは、歴史あるしょうゆメーカーである川中醤油が「“商”の立場で参画し、商品企画と販売に専念」(川中敬三社長)していることだ。「当初は農と工だけで開発・販売できるとみていたが、スムーズに連携するには当社は企画に徹した方がよい」との判断からだ。

 すでに4品目を投入。グループでは次の策を練っている。その切り札は「ユズを練り込んだうどん」。製麺会社の協力を得ながら、年内にも商品化する計画。「一年を通じて販売できる商材を加える」ことで目標を達成させたい考えだ。


【2011年10月10日 日刊工業新聞社】