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日本総研、“頭脳”で地方を活性化−温泉旅館の集客・経費削減

 日本総合研究所が地方の“頭脳”となって活性化を支援する取り組みを下呂温泉街(岐阜県下呂市)で始めた。温泉街の有志らが4月に設立した会社に温泉旅館の経費削減策や集客策を提案するのが主な役割だ。従来のまちおこしの組織・企業はイベント企画がメーンで金もうけの発想に乏しかったが、「きちんと銀行の融資が付く会社を育てる」(日本総研の丸山武志シニアマネジャー)と意気込む。(大城麻木乃)

【設立半年で成果】

 下呂温泉街の新会社は「下呂サービス・オペレーション(GSO)」。日本総研はGSOの立ち上げから関与し、設立半年ですでに温泉街の経費削減に貢献している。

 日本総研が提案したのはタオルやせっけんなど各旅館とも共通で使う物品の共同購入。単体の旅館で購入するより規模のメリットを生かし、調達価格を低く抑えることが可能だ。

 単に共同購入をするのでは知恵がない。そこで取り入れたのが、ネット上で最低入札価格を競う「リバースオークション」の仕組み。応札者同士の競争心を刺激することで調達費用を一段と下げることに成功した。「タオルで10%、鍋料理に使う固形燃料で30%、調達費用を抑えた」(丸山氏)という。

 集客策では秋に電通や出版社と連携し、美と健康に関心の高い40代女性を対象にした「湯女プロジェクト」を実施する予定。将来は事業承継に悩む旅館の合併・買収(M&A)支援なども手がける見通しだ。

【地元の支持カギ】

 地域活性化は、いかに地元の支持を集められるかが成否のカギを握る。温泉街では普段、旅館同士は商売敵で、利害の異なる経営者の心を一つにするのは至難の業。ましてや日本総研のように、“よそ者”の提案を容易に聞き入れる人は少ない。こうした課題に対し、丸山シニアマネジャーは「薩長同盟のように共通の利益があれば問題ない」と語る。

 例えば、物品の共同購入で、1回、2回と回を重ねるごとに実際に何%経費が削減できたといった効果を目の当たりにすると、「ためらっていた経営者でも参加に傾く」(丸山氏)という。逆に言えば、どれだけ地元に利益をもたらす提案ができるかが「シンクタンクとしての腕の見せ所」(同)だ。

【一部は手数料】

 GSOは旅館から共同購買などの業務を受託し、規模のメリットなどで旅館が得られた利益の一部はGSOの手数料とする。日本総研はGSOから「コンサルタント料金」を受け取る。GSOは2020年度に売上高5億円、営業利益8000万円にするのが目標だ。

 かつて地域振興は“箱モノ”に頼り、時代の変化に対応できず不良債権化して失敗する事例が多かった。日本総研の取り組みは「設備を持たずソフトで勝負する」(丸山氏)新たな挑戦で地方に根付くか注目される。


【2011年9月28日 日刊工業新聞社】