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つくろう!日本・東日本大震災6カ月/復興への道−宮城編(食品業界)

 宮城県の食品業界では復興を支援しようという消費者の意識の高まりで販売実績が前年同時期を上回る企業が目に付く。馬上かまぼこ(亘理町)が販売するかまぼこは8割がギフト用で、7月の中元商戦では「特需と言えるほどの忙しさだった」(馬上昌和副社長)という。同社は津波の被害を受けておらず、近隣の同業者の工場が壊滅的な被害を受けた分、注文が回ってきたことも理由の一つのようだ。

 馬上かまぼこは原材料にベーリング海で捕れるスケトウダラを使う。地場から海産物を調達していないため原料入手の影響はなかったことも幸いした。売上高は2011年6月期に5億3000万円、12年6月期は6億円を目指す。販売増に対応するため7月に4人採用した。30代が3人、20代が1人。当初、1人の採用予定だったが、30人以上集まって急きょ増員した。

 松島蒲鉾本舗(松島町)は宮城県名物の笹かまぼこを製造する。工場は3メートルの津波に襲われほとんどの機械が被害を受けたが、生産再開は中元シーズンに間に合った。全国から支援の注文が相次ぎ例年の中元時より多いほどだったという。主力商品の笹かまぼこが安定して製造できるようになったことから、8月下旬にはかまぼこをどら焼きに見立てた商品の製造も再開した。

 宮城県は、県単独での食品製造業の再建支援策を検討中。沿岸部は津波被害を受けたが「人とノウハウは残った」(宮川耕一農林水産部食産業振興課課長)。東京への商談会参加やバイヤー誘致に取り組み、販路開拓を支援する方針だ。

 特産品の販売は堅調だが被災地を訪れる観光客の回復する足取りは重い。丸文松島汽船(塩釜市)は松島湾を巡る遊覧船を運営する。津波は松島の島々がブロックしてくれたため、「水かさは増えたが津波は来なかった」(佐藤昭夫社長)。遊覧船の航路上に浮かぶがれきなどを別の遊覧船会社と協力して処理。5月1日には営業を再開できたが、集客は例年の2―6割ほどで推移している。

 毎月5000人ほどが訪れる外国人観光客はほぼゼロになり、修学旅行の団体利用も大幅に減った。社員の雇用は守ったものの、基本給を平均2割下げざるを得なかった。厳しいなかで明るい材料は隣の岩手県にある中尊寺が世界遺産に認定されたことだ。「中尊寺に行く外国人観光客が松島にも来てくれるはず」と見る。

 仙台名物の牛タン焼きの店舗を運営する喜助(仙台市青葉区)は仙台市内にある2工場とも地震の大きな被害は受けず、4月から多くの店舗で営業を再開したが観光客の減少に苦しむ。「仙台の七夕祭りの期間中も人出は少なかった」と大川原潔社長は残念がる。一方で、東京都内の百貨店などでの販売は被災地支援を意識した物産展の開催で好調だった。高島屋と系列百貨店は物産展の回数を増やしたり期間を例年より長くしたりしてくれたという。


【2011年9月8日 日刊工業新聞社】