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東京海洋大、先端技術で水産業振興−“電気漁船”現場投入

 東京海洋大学は東日本大震災の被災地復興とその後の全国展開を狙った、先端技術による水産業振興のプロジェクトを始めた。所有する演習船を使った海洋の放射性物質モニタリング調査や、最先端の“電気漁船”などの現場投入が目玉だ。水産資源確保から加工や流通・販売まで含めた“第6次産業化”を被災地で進め、少子高齢化が進む国内沿岸地域に共通する新産業モデルの確立を目指す。

 沿岸漁業支援のテーマでは、原発事故による放射性物質や、津波で流出した破損機器由来のダイオキシンや重金属の調査を実施する。すでに同大の海鷹丸で福島県沿岸の泥やプランクトンの採集を行っており、十数年にわたる経年調査を手がける。

 同大学が開発してきた船舶の最先端技術では、“電気漁船”を含めた電池推進船や、プロペラがないため、がれきの海にも強いウオータージェット推進船などを展開する。また、岩手県久慈市と計画する船のディーゼルエンジンを活用した防災スマートグリッド(次世代電力網)や、岩手大学の復興計画と連動させた流通・加工と経営のプロジェクト、漁業権開放の社会科学的研究も行う。

 すでに学内予算による3年程度の計画で動いている。5年実施に向けて、文部科学省2012年度概算要求に対する同大の目玉とした。今秋には最初の公開報告会を実施する計画だ。

 東京海洋大は全国水産業の産学・地域連携を支援している。今回の取り組みは、農林水産省が注力する1次産業の6次産業化の先進モデル開発と位置付けられる。そのため東北沿岸部の復興だけでなく、全国展開できる防災や過疎・高齢化対策、環境対応の戦略デザインを確立する。


【2011年9月2日 日刊工業新聞社】