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農商工連携の今(83)低利用魚原料に練り物

 日本で生産するかまぼこなどの練り物の原料は、9割以上をスケソウダラなどの輸入すり身が占める。「新兵衛屋」ブランドの中小かまぼこメーカーの浜地屋(三重県熊野市、浜地誠治社長、0597-88-0171)も同様に輸入すり身を原料に使ってきたが、大手メーカーと差別化した新製品を開発するために新たに違う原料を模索していた。

 そこで目を付けたのが小振りなサイズのタカベやイサキなど地元で捕れる低利用魚だった。味は良いものの養殖魚の餌などにしかならないため漁業者は捕れても捨てていた。「これを原料にすれば差別化できるし、漁業者の収入増にもなる」と浜地社長は早速、漁業者の丸光大敷(三重県熊野市)に小魚の供給を依頼することにした。

 すり身の加工は水産加工業の増浩水産加工場(同)とカネトミ水産(同)に委託した。必要な設備は浜地屋が1000万円を投じて設置。両社にすり身加工を委託して、2008年7月から地元で調達を始めた。

 原料の調達では、一定量を安定的に入手できるかどうかがポイントになる。このため丸光大敷は漁具を工夫し、従来は捕れても捨てるしかなかったため漁の対象にしていなかった小魚も捕れるようにした。鮮度維持のために氷も使い、月間4トンのすり身の安定供給を可能にした。

 この原料を用いて浜地屋が開発した第1弾製品が、10年11月に発売した「スライスかまぼこ」だ。かまぼこがシート状になっており、このかまぼこでアスパラを包んで油で揚げたり、サラダを巻いたりして食べる。「若い人が気軽に魚の味を楽しんでもらえるように考えた」(浜地社長)。さらに第2弾として初めからカットしていて食べやすい「切れかま」も2月に発売した。

 浜地屋が今後目指すのは新たな販路開拓だ。今の販路はスーパーやドライブインなど。中でもスーパーは値段が最も重視されるため利益率は低い。しかし今まで取引のない百貨店や通信販売の販路ができれば、価格以外の価値を認めてもらいやすい。

 このため顧客に配るスライスかまぼこのレシピ集を作成したほか、ホームページを一新して幅広く訴求に努めている。さらに今後5年間で製品ラインアップを10種程度に拡大する計画。これにより新原料を用いた新製品の売上高を11年5月期予想300万円から15年5月期には2000万円に引き上げたい考えだ。


【2011年7月18日 日刊工業新聞社】