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栃木の小山高専、蔵の街にキャンパス−歴史的景観維持に一役

 古くから蔵の街として栄える栃木市で、小山工業高等専門学校(栃木県小山市)が今夏、市が修復中の歴史的建造物「北蔵」にサテライトキャンパスを立ち上げる。市は現在、伝統的な街並みである蔵を生かした街づくりを進めている。小山高専はモノづくりの体験教室などを開催して地域住民に情報発信する一方、市は高専のモノづくり力を生かして街の魅力をアピールする。(栃木・杉浦武士)JR両毛線と東武線が接続する栃木駅。駅から続く「蔵の街大通り」には、黒塗りの重厚な見世蔵や白壁の土蔵が通りの両側に並ぶ。昔ながらの風情を醸し出す通りに今夏、小山高専のサテライトキャンパスが誕生する。 小山市に拠点を置く同校にとって、市外では初のキャンパス開設。北蔵ではロボットの製作などのモノづくり教室やフォーラムを開催。苅谷勇雅校長は「地域との連携を深めていきたい」と話す。 舞台となる北蔵は国登録有形文化財の見世蔵や土蔵などがある歴史的建造物。もともと、市が取得し、運営を民間に委託する形式で活用を検討していた。そこに地域連携の拠点作りを目指す同校と、民間事業者の共同提案のサテライトオフィス案が採択されたのがきっかけとなった。 栃木市は江戸から明治期にかけ、巴波(うずま)川を利用した舟運による物資の集積地として、また日光例幣使街道の宿場町として発展してきた。今でも当時の見世蔵や土蔵が数多く残っている。 市ではこうした歴史的な蔵の街並みを生かすため、アーケードや歩道橋の撤去などを進め、栃木駅から続く大通りの景観づくりに努めてきた。 同時に文化庁が指定する「伝統的建造物群保存地区制度」の認定を目指し、2008年に基本方針を決定。認定されると市が行う修理事業や防災設備の設置事業などに支援が得られる。市の担当者によると来年早々には指定される見通しだという。 「歴史的な文化財は保存だけでなく、活用することも大切。その支援もしていきたい」と苅谷校長。その言葉通り、北蔵の修復作業では小山高専のモノづくり力が発揮された。 当初、土蔵の扉の壁に使う金具の調達が困難となったが、同校ものづくり教育研究センターが中心となって提案。関東職業能力開発大学校などと連携し、昔の鍛冶職人の技術と現代の切削技術を合わせて完成させた。 東日本大震災の影響で多少の遅れの可能性はあるが、オープン予定日は15日。当日はシンポジウムが開催される。


【2011年7月6日 日刊工業新聞社】